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暗号資産
Web3.0
2023/04/02

不足するブロックチェーンエンジニアは高待遇——BlockChain Engineer 中編

ブロックチェーンエンジニアは何を開発するのか?

前編ではブロックチェーンの開発とはどのようなもので、ブロックチェーンエンジニアに求められるスキルとは何なのかといったことを語ってもらった。

中編ではブロックチェーンエンジニアの仕事環境や年収などについて触れていく。

——プログラムは一からすべて書いてアプリケーションを作るのですか? 流用するようなこともありますか?

A氏:完全に一から書くこともありますが、ほかの人が書いたコードを参考にすることもよくあります。そもそもブロックチェーン業界はオープンソースな世界なので、必要とするコードはすでにどこかで作られていることが多いんですよ。

ほかのアプリケーションのコードを流用すると聞けば悪いことのように聞こえるかもしれませんが、違法にプログラムコードを盗むようなことではない限り、悪いことではありません。

B氏:ブロックチェーンはセキュリティが非常に重要なので、よく理解しないまま自分でコードを書くよりも、すでにセキュリティがある程度担保されてるコードを流用する方が良いケースも多いです。それらをもとに自分たちで検証して、適切なコードを組んでいくこともあります。



ブロックチェーンエンジニアは人手不足、人材の奪い合い


——非常に大変な仕事のように思えます。ここからはブロックチェーンエンジニアというお仕事についてより具体的に聞かせてください。お二人はどのような経緯でブロックチェーンエンジニアになったのでしょうか?

A氏:私はそもそもスマートフォンゲームのバックエンド(サーバ側の処理)を主にやっているエンジニアだったのですが、そこから暗号資産やブロックチェーンに興味を持ち現職に就いたという経緯です。

B氏:私は学生時代にブロックチェーン関連の業務をしている企業にインターンのような形で入って、そのままブロックチェーンエンジニアとしていくつかの企業で仕事をしています。

A氏:たぶん、この業界に入ってきた時点でブロックチェーンのことを完全に理解しているような人はほとんどいませんよね。

B氏:そうですね。世界的にみてもブロックチェーンエンジニアは本当に人手不足の状況で、人材の奪い合いが常にあります。国内ではある程度知識があってブロックチェーン開発の経験があるようなエンジニアは、取引所や大手企業で働いていることが多いように感じます。

A氏:プログラマーとしてブロックチェーンとは関係がない仕事をしていた状態からこの業界に入ってくるパターンが多いと思います。当然ですが、その時点ではブロックチェーンについてはよく理解していないので、働きながら覚えるという感じですね。



——何人くらいで開発することが多いのでしょうか? また、仕事環境について教えてください。

A氏:よほどの大企業でない限りは、明確なチーム制みたいな仕組みにはなっていないので答えづらいですが、たいていの場合は社内外の人と協力しながら数人で開発しています。

仕事はほぼフルリモートですね。ただし、これはブロックチェーンエンジニアだから、というよりも昨今の情勢による影響の方が大きいとは思います。

B氏:私も基本的にはフルリモートです。個人的にはブロックチェーン業界の方々と広く交流を持ちたいと思っているので、勉強会などの集まりの場には積極的に参加するようにしています。

A氏:あたらしい技術やトピックを追いかけるためにも、交流はとても重要だと私も感じています。そういう場で話したことからヒントを得たり、時には仕事の手伝いを依頼されることもよくあります。

B氏:エンジニアとしての勉強や技術研鑽は1人でもできますが、ブロックチェーン業界全体の流れや流行を知るという意味で人との交流は非常に重要だと思っています。何より、同じ業界で同じものに興味を持っている人と話すのはとても楽しいですから。


——ブロックチェーンエンジニアになるための勉強はどういうことをすればよいのですか?

A氏:私は最初にこの業界に入った企業で教えてもらいながら学びました。あとは書籍であったりエンジニアのコミュニティに入って調べるという感じですね。

B氏:技術的な情報はネット上のコミュニティにいくらでも転がっているので、自分で検索して詳しい人に聞くのが一般的です。これはブロックチェーンエンジニアだからというよりも、エンジニアなら誰でもそうするものです。


——ちなみに、給与はどのくらいですか? ブロックチェーン以外のエンジニアと比べて良いですか?

A氏:一般論としては通常のエンジニアよりも高い水準でもらっている人が多いはずです。国内の平均は700万円、海外では1,000万円以上が当たり前といわれていますし、私も前職よりはるかに高い給料をもらっています。

B氏:私も同世代のプログラマー・エンジニアよりも高い給料をもらっています。Aさんがおっしゃっている平均給与よりは上ですね。

A氏:よく『ブロックチェーンエンジニアになるなら今がチャンス』という話がネット記事などであがっていますが、それは間違いないと思います。現時点でも一定のスキルがあるブロックチェーンエンジニアは引っ張りだこですし、今後も需要は伸びていくはずですから。

ただし、先程もいったようにブロックチェーンエンジニアとしてやっていくためには日常的に勉強をし続ける必要があります。勤勉さも必要ですし、何よりもブロックチェーン技術そのものへの関心がないと続けるのはつらいと思います。

B氏:あと、よほどの大企業に勤めるのではない限り、コードを書くだけの純粋なエンジニアとして働けるとは思わないほうが良いと思います。

ブロックチェーン系の企業の大半は現時点ではスタートアップなので、コードを書く以外にも多くの雑務を求められるケースが多いです。逆にいえば、本当に毎日色んな変化が起きるしさまざまな人と出会えるので刺激的な環境ではあります。


※各数値は求人情報から抜粋


——非常に忙しいように聞こえますが、いわゆるブラックな環境が多いのでしょうか?

A氏:難しい質問ですね。業務時間以外にも勉強をしていることが多いので、捉えようによってはブラックといえるかもしれませんが、スタートアップというのはそういうものなので、感じ方は人それぞれだと思います。

私が以前勤めていた企業よりは自由時間が多く、裁量も大きいので、そういう部分が負担に感じる方にとってはブラックなのかもしれませんね。

B氏:私はスタートアップ系の方と仕事をすることが多いのですが、基本的にワーカーホリックというか、ブロックチェーンに熱中している方が多い印象です。なので外からみれば仕事に全てを捧げているブラック体質に見えるかもしれませんが、明らかに充実した日々を過ごしている人が多いように感じます。

どちらにしてもブロックチェーン技術に強い関心がなければやっていけない仕事なので、その熱量次第ではブラックに思えるかもしれません。
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◉A氏
20代男性。ブロックチェーンエンジニアとして活動しつつ、NFTプロジェクトなどにも参画した経験を持つ。


B氏
30代男性。複数のブロックチェーン開発企業を経て現在はスタート アップ企業に勤務。主にバックエンド開発を担当している。



Iolite 編集部