
【NEWS】米ファースト・リパブリック銀行破綻 JPモルガン買収もビットコインなど続落
1日、米地銀のFRC(ファースト・リパブリック・バンク)が破綻したことがわかった。また、これに伴い米JPモルガン・チェースがFRCを買収したことも明らかになった。
FDIC(米連邦預金保険公社)が実施した緊急入札で、JPモルガンが落札した格好だ。
JPモルガンは融資債権約1730億ドル(約23兆8,000億円)と証券300億ドル(約4兆1,200億円)相当、預金920億ドル(約12兆6,400億円)を引き受ける。
FRCが米国内8州に構える84支店は、JPモルガンの支店として1日に営業を再開した。また、JPモルガンとFDICはFRCの一戸建て住宅向けローンおよび商業用ローンからの損失と回収額を分け合う。
FRCの破綻は、米史上2番目の規模となる。
同行の資産規模は2022年末時点で全米14位の2291億ドル(約31兆4,800億円)。破綻した米銀としては、2008年のリーマンショック時に破綻したワシントン・ミューチュアルの約3070億ドル(当時約33兆円)に次ぐ規模だ。
先月8日、シルバーゲートバンク(Silvergate Bank)の自己清算に始まり、10日にシリコンバレーバンク(Silicon Valley Bank)が破綻。12日にはシグネチャー・バンク(Signature Bank)が破綻するなど、米銀が相次いで破綻している。
2ヵ月足らずでこれだけの銀行が破綻する事態となり、金融情報企業ケネディ・ブロス・ワックスマン(KBW)が算出するKBW銀行株指数も下落した。
相次ぐ破綻にFRB(米連邦準備制度理事会)の監督体制の不備も問われている。
先月28日、FRBはシリコンバレー銀行の経営破綻について検証結果の報告書を公表。そのなかで経営破綻の原因を大きく2つに分類した。
1つは、同行経営幹部のリスク管理の甘さを指摘。2つ目として、FRB内の監督管理体制の不備をあげた。
同行の規模拡大に伴う内部構造の複雑化について、FRBは同行の脆弱性を理解しておらず、脆弱性を認識した後も、これらの問題を迅速に修正する十分な措置を講じなかったとしている。原因としてFRB内の人員体制の不備をあげた。
今後も米銀行の破綻は続くとみられている。なかでも、格付け会社ムーディーズが先日格下げを発表した銀行カリフォルニア州パサデナに拠点を置くイースト・ウェスト・バンコープ(East West Bancorp)やウェスタン・アライアンス・バンコープ(Western Alliance Bancorporation)、コメリカ(Comerica)などの動向が注視されている。
FRCの破綻を受けて暗号資産市場も下落した。ビットコイン(BTC)は28,000ドル(約385万円)ほどまで下落し、イーサリアム(ETH)などの主要銘柄もこれに続く形で値を下げている。
今週開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)を前に、FRCの破綻を受け一層リスクオフの流れが強まった形だ。
参考:FRB
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