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イスラエル国旗と取り合う手
暗号資産
金融・経済

【NEWS】ハマスの攻撃を受けイスラエルの暗号資産企業が難民支援基金「Crypto Aid Israel」を設立

里見 晃
2023/10/10

イスラエルの暗号資産(仮想通貨)企業のグループは9日、イスラエルとパレスチナ・ガザ地区を拠点とする武装勢力ハマスの衝突がエスカレートしていることを受け、人道支援を必要とする避難民への救済資金調達を目的とした「クリプト・エイド・イスラエル(Crypto Aid Israel)」基金を設立した。

クリプト・エイド・イスラエルはMarketAcross、CryptoJungle、42Studio、Collider Venturesなどイスラエルの暗号資産企業グループ各社が共同で設立した。

寄付金は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、ステーブルコインのテザー(USDT)及びUSDコイン(USDC)など、複数の銘柄に対応するマルチシグネチャーウォレットで集める。

集めた暗号資産の寄付金はイスラエルの非営利団体に送り、食料や衣類などの必需品を持たずにイスラエル南部から都市テルアビブに避難した家族を支援していくとしている。

ほかにも、避難所、衛生用品、医療、医療製品などの提供を行う。また、イスラエル政府各機関と連絡を取り、資金の提供先についても協議しているという。

暗号資産の管理に関して、クリプト・エイド・イスラエルは、「Fireblocksの援助を受けた。ウォレットから資金を移動するには7件中、4件の署名を必要としており、信頼のおける管理者によって完全な透明性をもって運営される」と述べた。すでに数千ドル相当の暗号資産が寄付されているという。

イスラエルは先週末、ガザ地区を支配するハマスに宣戦布告した。ガザ地区には200万人以上のパレスチナ人が住んでおり、2007年以来、イスラエルによる経済・軍事封鎖の対象となっている。ハマスは米国政府からテロ組織として指定されている。宣戦布告は、ハマスが先週土曜日にイスラエルに対して攻撃を開始したことを受けて発表した。数十年にわたる紛争の最終局面に入ったとみる報道機関は多い。

医療関係者らによると、7日だけでイスラエルに向けて3,200発以上のロケット弾が発射され、600人のイスラエル国民が殺害され、2,000人以上が負傷しているという。さらに家屋や財産にも大規模な被害が生じているとされる。またガザ保険省によれば、空爆で687人のパレスチナ人が死亡し、3,726人以上が負傷したという。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)などのパレスチナ支援団体も、資金調達に暗号資産を活用しようとしている。UNRWAは2021年に暗号資産による寄付のプラットフォームThe Giving Blockと提携している。

近年、暗号資産は人道支援募金や紛争地域の財源の手段としても活用されている。昨年ロシアの侵攻を受けたウクライナ政府は数千万ドル相当の暗号資産を寄付により調達した。また、イーロン・マスク氏率いるスペースXはウクライナにスターリンクを無料で提供しインターネット環境の整備を行っている。

参考:発表
画像:Shutterstock

里見 晃