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【NEWS】国連、東南アジアの犯罪行為にUSDTが最も利用されていると指摘 テザー社は反論

里見 晃
2024/01/17

USDTの犯罪利用を国連が指摘

UNODC(国連薬物犯罪事務所)は15日、時価総額最大のステーブルコイン・テザー(USDT)が東南アジアで詐欺やマネーロンダリングで最も利用されていると報告書で明らかにした。

報告書では、暗号資産(仮想通貨)を悪用する状況が大きく変化していると指摘した上で、特にテザーが金融犯罪者たちに最も利用されていると分析している。安定性、利便性、匿名性、手数料などの理由からテザーを利用する傾向が強いようだ。

テザーが多く利用されている根拠として、国連はサイバー詐欺やマネーロンダリングなどが急増していることをあげた。また、性的コンテンツや個人に関する情報を投稿すると脅迫する「セクストーション」及び詐欺の手口が「豚の屠殺」に似ていることから付けられた「豚の屠殺詐欺」などの急増も指摘している。

国連によると、近年テザーの利用を専門とする高度なマネーロンダリング組織が急速に増加しているという。犯罪者はFacebook、TikTok、Telegramなどのソーシャルメディアプラットフォームでサービスを宣伝しているようだ。

また報告書では、テザーがどのように使用されているかも詳細に分析している。なかでもオンラインカジノ業界での利用が顕著だ。オンラインカジノや暗号資産を活用するマネーロンダリング業者、特にテザーを使用する業者にとって1番利用されていると指摘した。

国連のジェレミー・ダグラス(Jeremy Douglas)氏はフィナンシャル・タイムズに対して、「組織犯罪は、あたらしいテクノロジーを利用し、パラレル・バンキング・システムを効果的に構築した。規制の緩いオンラインカジノや暗号資産の普及が東南アジアの犯罪エコシステムを加速させている」と警鐘を鳴らした。


テザー社は国連の報告書を受け反論


この報告書を受けてテザー(Tether)社は同日、Webサイトにて異議を表明し「テザーの役割を無視する国連の評価に失望している」と言及。また、国連の分析はテザーのトレーサビリティと同社が法執行機関と協力してきた実績を無視していると批判した。

さらに、テザー社は国連に対し、「リスクだけに注目するのではなく、中央集権型ステーブルコインによって金融犯罪対策の取り組みをどのように改善できるかについても議論すべきだ」と付け加えた。

参考:報告書テザー発表
画像:Shutterstock 


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