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Gincoと大和証券発表
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【NEWS】大和証券とGincoが協業 パブリックチェーン上でのセキュリティトークン発行でPoC実施へ

里見 晃
2023/11/30

パブリックチェーン上での発行リスクに焦点

大和証券グループとGincoは先月30日、セキュリティトークンの発行とプラットフォームを開発するためPoC(概念実証)を実施することを発表した。

このPoCでは大和証券グループ傘下の大和証券及びFintertechと協同で行う。

2020年5月1日の金融商品取引法及び関連する政府令の改正施行で「電子記録移転有価証券表示権利等」が規定され、セキュリティトークンについては法令に準拠した取り扱いが可能となった。

本PoCを実施する大和証券グループでは、大和証券がセキュリティトークンを2022年2月に事業化。これまで、資産裏付型セキュリティトークンの累計取引額は226億円にのぼる。今年11月30日現在では、大和証券がセキュリティトークン取り扱い金額ベースで国内でトップだ。

現時点、国内で発行されたセキュリティトークンは、主にプライベートチェーンやコンソーシアムチェーン上で発行されている。しかし、グローバル的にはパブリックチェーン上で発行されているセキュリティトークンも存在している。たとえば、欧州投資銀行(EIB)が2021年4月にイーサリアム(ETH)上で債券を発行しているほか、今年2月にはSiemens、9月にはABN Amroがポリゴン上で債券を発行している。

パブリックチェーン上でセキュリティトークンを発行する場合、さまざまな課題がある。一方で外部からの参照や移転指示等が自由であり、透明性やインターオペラビリティの観点で有用である等のメリットがグローバルで活用が進む理由になっていると説明する。

こうした背景を踏まえ、大和証券はパブリックブロックチェーンを活用した金融システムの構築に精通したFintertechとGincoが協同し、パブリックチェーンでのセキュリティトークンの発行と発行プラットフォームの開発を目指すことになった。


ハッキング被害を受けた際の顧客資産保護を検証


パブリックチェーンでのセキュリティトークン発行における課題として、「ハッキングされて秘密鍵が流出する」こと、「犯罪収益の移転防止に関する法律における取引時確認」がある。今回のPoCでは、主にハッキングに焦点を当て、実際に被害を受けた場合、どのように顧客資産を守ることができるかについて検証を行うという。

今回のPoCでは、Fintertechがイーサリアム上に用意された投資家2名(投資家A、B)のアドレスに対して、SBT(ソウルバウンドトークン)を付与する。その後、発行会社がイーサリアム上でセキュリティトークンを発行。当該セキュリティトークンは、証券会社を介さず、少人数私募によって投資家Aに販売する。次に投資家Aは投資家Bに当該セキュリティトークンを売却するプロセスを取る。

スマートコントラクトにより、当該セキュリティトークンはSBTが付与された投資家のみ売却、取得できないように設計されており、これによりハッキングによる秘密鍵流出時にも不正な移転ができない設計となっているという。

また、「投資家の暗号鍵が盗まれた場合」「発行体の暗号鍵が盗まれた場合」「SBT発行体の暗号鍵が盗まれた場合」の3ケースにおいて、セキュリティトークンとSBTのスマートコントラクト設計により問題の発生を未然に防ぐ、または発生時に元の状態に戻すことが可能であることを示す予定であるという。

▶︎PoCの概要


PoCの実施は2024年1月を予定している。実施後、検証結果を含め報告する予定だという。

参考:発表
画像:発表より引用


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