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【NEWS】金融庁、2023事務年度の金融行政方針を発表 暗号資産やステーブルコインの取り組み加速へ

Iolite 編集部
2023/08/31

金融庁は先月29日、2023事務年度の金融行政方針を発表した。政府が掲げる資産運用立国の実現に向け、資産運用会社や年金基金の運用力を強化する方針だ。

また一般家計では約1,100兆円の預貯金があるといわれ、その資金を投資に移動させ国民の資産形成や企業成長につなげる狙いもある。

金融庁は重点的に取り組むとして、以下4つの方針をあげた。

  1. 経済や国民生活の安定を支え、その後の成長へと繋ぐ
  2. 社会課題解決と経済成長を両立させる金融システムを構築する
  3. 金融システムの安定・信頼を確保する
  4. 金融行政を絶えず進化・深化させる

特に今回発表した金融行政方針で重視しているのが2の項目だ。

持続的な経済成長に向け家計に眠る預貯金を投資へつなげることで、成長の果実が資産所得として国民に還元され、国民の資産形成とさらなる投資や消費につながる「成長と資産所得の好循環」を実現させる。

それにはデジタル社会の実現とスタートアップ支援が欠かせないとし、あらたな市場創造につながるよう金融面での環境整備を進める方針だ。

また、顧客の利益を考えた運営確保のためステークホルダーへの開示を含めガバナンスの向上を後押しする環境整備を行い、国際金融センターの実現を目指す情報発信を行っていく。

さらに、今回の発表ではあらたなNISA(少額投資非課税制度)の普及・活用促進、金融経済教育の充実などを柱とする「資産所得倍増プラン」を推進する姿勢も改めて記された。あたらしいNISAは来年1月に拡充される予定で、金融庁は制度の趣旨や内容の周知に努める方針だ。デジタル技術を活用してNISAの手続きの簡素化と合理化も進める。

スタートアップの資金調達や非上場株式保有者の換金とあらたな投資を円滑化するため、非上場株式のプライマリー市場、セカンダリー市場、双方の取引活性化に向けた環境整備に取り組むことも示された。

デジタル社会の実現においては、金融サービスのデジタル化や金融機関のDXを推進し、金融サービスが利用者保護やシステムの安全性を確保しつつ特色ある機能を発揮するほか、経済成長に資する形で持続的に発展するよう金融機関やフィンテック事業者の支援を行うと説明する。

また国内外の事業者の参入促進のため「FinTechサポートデスク」の機能や体制を強化し、国内フィンテックの魅力発信や海外を含む事業者のネットワーキングの機会創出のため「FIN/SUM」の国際化を図る。

来年3月には「Japan Fintech Week」を創設し、国内外へ情報発信を積極的に行い、資金運用立国への取り組みをアピールする。

Web3.0等の推進に向けたデジタルマネーや暗号資産(仮想通貨)などにかかる取り組みも組み入れられた。

なかでも、ステーブルコインについては円滑な発行と流通に向け、仲介者に対して迅速な登録審査を行うための取り組みを進めると共に、自主規制団体の設立を促す。

さらに、期末時価評価課税の対象となる発行体保有分以外の暗号資産についても、法律上・会計上のあり方を含めて税制上の扱いを検討すると明記された。暗号資産発行企業等の会計監査の機会確保に向け、日本公認会計士協会の取り組みを後押しする形だ。

また投資者保護に配慮しつつ、セキュリティトークンの流通の枠組みや税制上の扱いについてもさらなる検討を行っていくという。現在までの暗号資産領域へのモニタリングが有効に機能した経験を活かし、国際的な政策対応に貢献していくと同時に、暗号資産の越境取引について各国当局と連携を図るとしている。

参考:金融庁
画像:Shutterstock

Iolite 編集部