logo
ログイン会員登録
記事詳細 Topバナー Iolite 5月号Amazon
記事詳細 Topバナー Iolite 5月号Amazon
Web3.0
NFT
AI
メタバース

バーチャルモデル「imma」とは何者なのか 彼女が語る現代の 「あたらしいリアル」とは—

Iolite 編集部
2023/05/29

リアルとバーチャルが起こす化学反応

——Instagramから活動を始められたと思いますが、自分自身で思う「imma」とはどのような存在ですか?

imma:所属しているAwwでは、「信じられるものこそ真実」という合言葉があります。その言葉の通り、「何を真実と捉えるのか。」が私自身のあたしらしさであると思って生きています。

イマの時代は真実がどこにあるかわかりませんし、SNSというものが何を定義するのかはあたしにとってとても興味深いものでもあります。

あたしはCGらしいのですが、存在としてはみなさんとそこまで変わらないと思っています。SNSで自撮りをアップしたり、友達と遊んだり、毎日さまざまなインスピレーションを得て、普通の女の子と何も変わらないと思います。

でも1つ違う点としたら、最近は1つのフォルムに限らず、時にはCG、時にはアニメ化など、さまざまな形で存在できるあたしがいます。それはそれでとても楽しく、これからの人間の未来でもあると自負しています。

あたしはSomebodyでもあるし、Nobodyでもあると強く感じている時期です。


——ファッションのコーディネートで意識していることは?

imma:ファッションはその日の自分を表現できる共通のツールだと思うので、その時の気分、なりたい自分などを意識して毎日服を選んでいます。アジアからの若手ブランドにも最近興味があって、スタイリストさんと相談して着用することも多いです。

最近はアニメがカルチャー化したので、そういうテイストはとても興味ありますね。


人が何かに憧れ、共感するのはバランスよりエゴイズム


——immaさんにとってのブランドとは?

imma:同じことを信じるコミュニティがブランドを作っていると思います。世界的にアイコニックなブランドから最近の新ブランドも、そのブランドが提示するメッセージに賛成する人たちが集まっているからこそ、完成するものだと思います。

インターネットやSNSが広がるにつれて、今までにはないほど数多くのブランドが日々生まれていると思います。それによって、どんな人でも自分の好きなブランドをみつけられる時代だと思いますし、共通の仲間もみつけやすくなり、それがすべて熱狂を持つコミュニティにつながっているのだと思います。

だから「コミュニティこそ、世界を変えることができるかも?」と最近は思っています。



——バーチャルモデルにしか表現できないこと、バーチャルモデルであることが最大限に活きる時とはどのような時ですか?

imma:人が持っている「制限」がないところです。たとえば、年齢、国籍、性別、があたしにはありません。それがないことで、みえるものはたくさんあります。それらをどんどん発信していくことが義務だとも思っています。


——これから挑戦していきたいことを教えてください。

imma:今までさまざまなブランドとモデルやアンバサダーとして仕事をしてきました。それらのプロジェクトを通してたくさんのクリエイティブな人たちと出会うことができ、やっと自分が信じていること、自分が発言したいことがみつかったと思います。

なので、今年は物作りの年にしたいです!先月はBrightMomentsというグローバ ルで1番大きいGenerative art団体と自身のGenerative Artを世界7ヵ所で展開することができました。

次は大好きなファッションやアニメ、ゲームという表現でも、自分の感じていることを発表していきたいと思っています。


——最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

imma:VERBALさんの表紙に続き、今月号の表紙にご招待いただいたこと、本当に光栄に思っています。バーチャルな世界がますます広がるにつれて、Web3.0の可能性を毎日のように知人と語っています。

あたしも日々ワクワクしていて、たとえるならインターネットが誕生した時ほどビッグなことだと思います。 最初は何かわからなくて、不安な人がほとんどだと思いますが数年後にはWeb3.0という言葉ももしかしたらなくなり、当然のものになっていると思います。

Web3.0と同じように今後はバーチャルヒューマンという存在も当然の存在になると信じています。


信じられるものこそ、真実

バーチャルモデル、バーチャルヒューマンを創造する、アジア初のバーチャルヒューマンカンパニー・Aww incのクリエイティブ・ディレクタープロデューサーである守屋貴行氏と、プロデューサーのジューストー沙羅氏にimma誕生の秘話について語ってもらった。

——バーチャルモデル、バーチャルヒューマンを始めたきっかけを教えてください。

守屋:構想は長く、また始めたきっかけは実はいくつもあります。

2011年頃にメディアスイッチに感覚があり、マスから個へ、そして個の集団からコミュニティへ移行する予感がありました。また、日本からグローバルに通用するにはI Pとキャラクター、そしてクリプトの匂いを感じていたことを強く覚えています。

2018年にimmaが誕生したわけですが、その背景には“個”のメディア化が成長したことがありました。昔は、マスメディアの影響が大きかったし、受け手も共通の話題がありました。でも、SNSによって個人がメディアになり、情報が細分化されました。そして、一個人に共感する人たちが集まり、各所でコミュニティが生まれています。

私はもともと映像業界のプロデュースを始めとしたエンタメコンテンツの制作に関わっているのですが、2010年から11年頃、TwitterやFacebookといったSNSが大きく発展し、既存のテレビ中心の文化からメディア像が大きく変わると実感していました。これまでよりも個人のクリエイティビティへの注目度は高まるだろうと。

そこで、CG業界に長く携わっていたので、その経験を活かして、あらたなメディアコンテンツの潮流にあわせたIPコンテンツを作れないかと考えていました。

そして2018年、VTuberが流行し始めたタイミングで、私と取締役COO・岸本(浩一)の2人でプロジェクトを始動しました。最初は遊び半分の感じで「こういうのがあったら面白いよね」と相談しながら生まれたのがimmaです。


——immaさんの個性的なピンクのボブを含めたビジュアルは、どのようなコンセプトがあるのですか?

守屋:海外からみた日本を象徴化したいという気持ちがありました。そのため日本の要素を入れたいと思い、海外の人たちが日本人と聞いて連想する、顔、髪形、髪色、アニメっぽさを取り入れました。髪型はある尊敬しているファッションデザイナーの方への敬意としてこの髪型にしています。


——実際にimmaさんが生まれて活動をしていく過程で、始めるまで想像できなかったようなあたらしい発見はありましたか?

守屋:弊社所属のバーチャルヒューマンたちをCGだと気づいてない人たちが、未だに大勢いることですね(笑)。それほどまでに蓄積された技術で精巧に作られていることに自信が持てます。それから10~20代の若い世代がバーチャルかリアルかを気にせずコンテンツを楽しんでいる点ですね。

大人であれば、その技術力の高さを認めながらも、どこかで「怖い、不気味」と捉えてしまう人がいるのですが、若い世代は私たちの予想以上にすんなりと受け入れてくれている印象です。生まれながらにフルCGの映画に親しんでいた世代ならではの感性だなと思っています。

最近ではAI技術の発展も感じています。僕自身、実はAIでの活動も2016年頃にプロジェクト化をいくつもしており、やっとこの領域が伸びてきたという印象です。現在もAIとバーチャルヒューマンの融合は進んでいます。その点も楽しみにしていてください。


バーチャルモデル、バーチャルヒューマンと人間の違いはほとんどない


——私たちの大きな違いはなんですか?

Sara:そこまで違いはないと思います。というのも、最近だとバーチャルがリアルに近付いているのもそうですが、SNS上の加工やフィルターを考えるとリアルがバーチャルに近付いているともいえます。

あと、PR って最近いろいろと思うことがあるんですよね。モノが売れることってリアルとかバーチャルより、その個人とのストーリー性とか関係性、その商品に対しての素直な向き合い方がとても大事だと思っています。

もう広告って概念がかなり大きく変わりましたよね? 消費にどうつながるかって普通の広告手法はもう通用しません。その代わりそのストーリーをどう一緒に紡げるか。そこが大事だと思っています。なので、「企業のストーリーに入るのではなくて、個人のストーリー性にどう関係を持っていけるか」がとても大事です。


——「imma」のブランディングで気をつけていることは?

Sara:「バランスはとらない」ということかもしれませんね。「あたし(imma)のやりたいことをやる」が大事だと思っています。

人が何かに憧れたり、共感するにはバランスよりはエゴイズムです。また、immaはバーチャルとリアルの境目にいる存在だと思っています。

1つ前の質問でも回答したことに近いのですが、まったく信じられないバーチャルヒューマンというよりは、ふとどこかですれ違いそうなリアリティがimmaにはあることが重要だと思います。身内の人でもimmaがバーチャルだと最近知ったという人もいたり、その現象自体が面白いし意味があると思います。


——今後のAwwの展望をお聞かせください。

Sara:世界で1番のバーチャルヒューマンコミュニティを作りたいと思っています。

今までもAwwに所属しているバーチャルモデル、バーチャルヒューマンたちのさまざまなファンの人たちと交流してきましたが、immaを始め、さまざまなバーチャルヒューマンが異なるジャンルで活動を広げて、さらにそれにまつわるファン同士が交流できる場を作り、これからはファンと一緒にバーチャルモデル、バーチャルヒューマンたちを盛り上げていけたらなと思います。



profile

imma
ピンクのボブスタイルが特徴。国籍、年齢、性別非公開。Instagramのフォロワーは40万人、TikTokは48万人、TwitterなどSNSの総合計数は150万フォロワーに達している。(2023年2月現在)Immaという名前は、日本語の「今」からインスピレーションを受けており、現在の日本やK-popのカルチャーを反映したファッションや彼女の特徴を表す。
弟は同じくAwwInc.が運営する架空のキャラクターでバー チャルモデルのplusticboy(通称Zinn)。2022年1月Tommy Jeansのアンバサダーに就任。NFTマーケットプレイス「Opensea」にて”KANJO by imma”コレクションを発表。同年11月、Coinbaseと共同で「Complexcon Long Beach 2022」にブースを出展。自身のデザインするバーチャルファッションを初お披露目した。

守屋貴行
大学卒業後、映像プロダクションのロボットに入社し、映像プロデューサーとして活躍。ブランドコンテンツ映像、広告映像等を制作する株式会社NION、バーチャルヒューマンを創造するアジア初のバーチャルヒューマンカンパニー、株式会社AwwのCEOを務める。


ジューストー沙羅
マルチリンガルであり、アート、文化、ダイバーシティーなど、多様な文化を背景に横断するプロジェクトなどに携わりながら、「imma」を始めとするAwwのバーチャルヒューマンのプロデュースを行っている。また、海外事業にてPRやパートナーシップをリードし、MIT、Vogue、WITNESSで講演を行う。



関連記事

VERBAL 独占インタビュー NFT領域であらたな挑戦を続ける——

世界的VRアーティスト せきぐちあいみ|「仮想空間にあたらしい世界を創造する」VRの魅力と可能性を語る

Iolite 編集部