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ドコモ・KDDI・ソフトバンクといった携帯大手キャリアと新興勢力のWeb3.0・AI動向

Iolite 編集部
2023/12/03

DAO、トークンエコノミー、取引所、ウォレット……
”競争”に突入した大手携帯キャリアそれぞれの戦略は?

最新のテクノロジー、そしてあらたなビジネス競争の舞台として注目されているWeb3.0とAI。これまでも熾烈な争いを繰り広げてきた携帯キャリア各社も、この領域に進出し始めている。

新時代のビジネス領域で、ブルーオーシャンを切り開くのは果たしてどの企業になるのか。

携帯キャリア4社の事業・シェア率

NTTドコモ

シェア率:36.1%

携帯契約数シェアNo.1! 金融・決済領域にも強い

1991年の設立以来、携帯や自動車電話など移動通信事業の中心として長年にわたって強固な地位を築いており、現在も携帯キャリア企業の王者として君臨している。最近では通信事業だけではなく、金融や決済領域、マーケティングソリューションなどを「スマートライフ事業」と位置づけて注力している。


KDDIグループ

シェア率:27.0%

5Gを中核にした事業変革を推進中

携帯シェアNo.2のKDDIグループは、2030年に向けて「社会を支えるプラットフォーマー」という中期経営計画を掲げている。5Gを事業変革の中核に据え、あらゆる産業や生活シーンで付加価値を提供できる企業になることを目指す。


ソフトバンクグループ

シェア率:20.9%

通信事業だけではなく金融やICTビジネスも展開

一般的には携帯キャリアとして知られているが、そのほかにもスポーツ、金融、ICTなど幅広い事業に投資、開発をしている。決済領域のシェアトップであるPayPayを始めとした多くのサービスをグループ内に抱えていることが強み。新規事業の開拓にも積極的なため、今後も通信事業以外の分野での活躍が期待される。


楽天グループ

シェア率2.2%

モバイル事業は苦戦巻き返しの一手が待たれる

第4のキャリアとしてモバイル事業に参入したものの、5年連続で赤字となっている。他社と比較して料金面では勝っているものの、黒字のための十分な契約数を獲得できていない点がネックとなっているようだ。モバイル事業の赤字がグループ全体の足を引っ張っているため、巻き返しは必須となっている。


※シェア率は総務省「通信市場の動向について」を参照


NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天のWeb3.0に関する取り組み


携帯キャリア4社は携帯・スマートフォン事業以外にもさまざまな領域に事業を展開している。そのなかで、直近数年間で各社が注力し始めたのがWeb3.0領域である。そこで、まずは4社のWeb3.0領域に関する取り組みについてまとめよう。

ただし、Web3.0と呼ばれる領域の範囲は非常に幅広い。まずは暗号資産の発行・販売、あるいは取引所を提供する暗号資産関連事業がある。また、暗号資産やNFTの基盤であるブロックチェーンの開発やユースケースの開発、普及活動なども、Web3.0領域の1つといえる。

さらに近年流行しているメタバースの構築や運営などに力を注ぐ事業者も増えつつある。携帯キャリア各社が、Web3.0領域のなかでどの事業に力を入れているのか、それぞれの状況をまとめた。


NTTドコモ

ドコモは2022年第2四半期決算会見において、今後Web3.0活用に向けて、5~6年で6,000億円の投資を行うと発表している。

その先駆けとして、日本発のパブリックブロックチェーンであるAstar Networkを開発するStake Technologies Pte. Ltd.と、Web3.0の普及に協力して取り組む基本合意を2022年10月31日に発表。「Web3.0の特徴の一つである分散型自律組織(DAO)の考え方を活用した社会課題解決プロジェクトを開始する」としている。

DAOとは、トークン(暗号資産)を活用することで、組織やコミュニティが集権的な管理者を必要とせず、参加者が自律的に協力関係となり、目標に向けて活動するようになる仕組みを指す。

このような取り組みはWeb3.0業界において「トークンエコノミーの活用」などといった表現で各所で行われているものだ。ただし、日本発のパブリックチェーンという唯一無二の実績を持つAstarとの提携は、このような取り組みだけを目的としたものではないと考えるのが自然だろう。

決算会見時点では「どの分野に注力するのかは未定」としていたが、その狙いが徐々に明らかになってきた。2023年にはWeb3.0を推進する子会社の名称を「株式会社NTT Digital」とし、多様な業界・業種の事業者とシステム開発、ユースケース創出やルール整備に取り組んでいくにあたり、13社と連携に基本合意したことを発表。

この発表では、「個人や企業がweb3サービスやブロックチェーン技術を容易かつ安全に利用できる環境づくりをweb3イネーブラーとしてグローバルに推進」するとコメントしている。

ここでいう「web3イネーブラー」とは、ブロックチェーン技術を活用したサービスを安心・安全に利用できる共通の機能及び手段の総称である。具体的には、関連するシステムの開発や拡張、NFTを使ったコンテンツ管理や売買、暗号資産やステーブルコインによるFinTech、DID(分散型ID)を活用したパーソナルデータの自己管理といったユースケースの創出を目指すという。

このように具体的なユースケースは多岐にわたるが、長年に渡って信頼を積み上げてきたドコモの実績と、セキュリティ面のノウハウを活用したサービスを展開していくようだ。

また、ドコモは初期段階から「グローバルデファクトを目指す」と明言していることから、国内だけのガラパゴスなサービスではない点にも注目。グローバルなパブリックブロックチェーンであるAstar上でのサービス展開なども期待できそうだ。

方向性としては、ブロックチェーンやトークンのユースケースを生み出しながら、ビジネスとして今後拡大していくべき分野を確かめている段階といえるだろう。

また、ドコモは音楽を始めとするコンテンツの体験や、アバターを介したユーザーコミュニケーションを可能にする、マルチデバイス型メタバース「XR World」などのサービスを展開している。


KDDIグループ

KDDI はかねてよりメタバースを中心に、エンターテインメント×Web3.0に関する取り組みを続けている。2020年5月には都市連動型メタバース「バーチャル渋谷」、2022年10月には「デジタルツイン渋谷」などのプロジェクトに参画。5GとAR(拡張現実)やMR(複合現実)を組み合わせたあらたなエンターテインメントの創出に力を注いできたといえるだろう。

そして2023年にはついに「メタバース・Web3.0サービス」と銘打った「αU(アルファユー)」を立ち上げた。同社の看板ブランドである「au」になぞらえた名前からも、その本気度がうかがえるだろう。

このように、KDDIのWeb3.0戦略はメタバースが軸になっている。メタバースは、あらたなコミュニケーション手段とも、新時代のSNSになるともいわれている。さらにメタバース空間での音楽ライブやショッピング体験など、これまでにない体験・エンターテインメントが今後次々と発掘されるはずだ。

αUではNFT の活用も想定されており、KDDI が日本の中心的なメタバース企業として、NFTなどのWeb3.0技術を絡めて展開していくことは、間違いないだろう。


KDDIのメタバース・Web3.0サービス「αU」

KDDIは2023年3月7日に、メタバース・Web3.0サービス「αU」を始動した。同サービスでは、メタバース、ライブ配信、バーチャルショッピングなどのWeb3.0時代のサービスを提供するという。以下の5つがαUが提供するサービスである。

αU place

リアル空間の街並み・店舗・商品をバーチャル空間上に再現するサービス。リアル店舗のように商品探しができて、いつでも買い物ができるECの良さもあわせ持っている。


αU market

デジタルアート作品(NFT)などが購入できるマーケットプレイス。有名ファッションデザイナーや著名なNFTアーティストによる作品がαU market限定で登場する。


αU metaberse

バーチャル空間に再現された渋谷や大阪の街を舞台に、アーティストによる音楽ライブや、利用者同士が集まって会話を楽しめ、さまざまなコミュニティに出会うことができる。


αU wallet

αU marketで購入したデジタルアート作品(NFT)や、売買時に使用する通貨である暗号資産の管理ができる暗号資産ウォレット(お財布)。


αU live

360度・自由視点映像で高精細な映像を視聴できるライブ体験サービス。アーティストと会場をバーチャル空間に再現し、視聴者はリアルのライブに近い体験ができる。


ソフトバンクグループ

ソフトバンクは、携帯キャリアのなかで唯一、直接的にWeb3.0に関する取り組みを行っていない企業である。主な取り組みはソフトバンクグループの投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を通じたブロックチェーン・Web3.0領域への投資だ。

ただし、同ファンドの主な投資領域は新規事業や人工知能(AI)が中心になっている。

Web3.0領域への投資を積極的に行っていないのが現状で、現在のところ、ソフトバンクとしてはWeb3.0領域を、将来性も含めて重要なビジネスとはみていない、と断じても良いだろう。


楽天グループ

楽天グループは、携帯キャリアのなかでは唯一暗号資産取引所事業「楽天ウォレット」を抱えている。直接的に暗号資産との関わりを持っているという点では、ほかのキャリアとは全く異なる立ち位置といえるだろう。

しかし、取引所事業は2019年のサービス開始以来、赤字が続いている。国内の暗号資産取引所は大半が赤字となっていることから、楽天ウォレット特有の問題というわけではないが、決して順調ではないというのが正直なところだろう。

一方で楽天は、単なる取引所事業だけに終始するつもりはなさそうだ。Web3.0業界では、「ウォレット」という言葉は暗号資産を管理するためのサービスにおいて使われるものである。イメージとしては銀行口座に近いものなので、本来は取引所サービスの名称としては違和感がある。

それでもあえて楽天ウォレットという名称にしているのは、このサービスを通じて”ほかのなにか”に暗号資産を使う場となることをイメージしているはず。具体的にはNFTやメタバースなど、Web3.0関連のサービスを使う際の資金管理を行う場として利用してもらうのが理想だ。

ECを始めとした楽天グループの数多くのサービスで暗号資産決済が可能になった時に、そのハブとして楽天ウォレットが使われるという将来像を描いているのだろう。ただし、現時点では暗号資産の活用はそれほど進んではいない。暗号資産を使える場としては、NFT のマーケットプレイス「楽天NFT」が目立つのみである。

グループとしては楽天モバイルの赤字がグループの足を引っ張っていることが指摘されており、Web3.0事業の拡大よりもグループとしての経営改善が急務となっている。グループ内でのWeb3.0活用やさらなる投資は厳しい状況といえそうだ。


以上がWeb3.0に関連するキャリア4社の取り組みとなっている。このほかに目立つものとしては、ブロックチェーンゲーム分野への投資を各社が行っている点があげられる。日本発のゲーム特化型ブロックチェーンである「Oasys」に、4社すべてがバリデータとして参画しているからだ。

4社が同じプロジェクトに投資をしているため差別化は難しいものの、「ブロックチェーンゲーム」も携帯キャリアにとって重視すべきWeb3.0領域の1つといえるだろう。

以上をまとめると、ドコモはWeb3.0技術を用いたユースケースを生み出すべく、さまざまな取り組みを始めていることになる。そしてKDDI はメタバースを中心としたエンターテインメント、楽天は取引所事業が主といえるだろう。一方、ソフトバンクは現時点でWeb3.0に関する目立った動きはないとみるのが妥当である。



堀江貴文氏が手がけるWeb3.0を活用した新感覚モバイル体験

堀江貴文氏が手がけるMVNOブランド「HORIE MOBILE」はブロックチェーンを活用したトークン発行型のクラウドファンディングサービス「FiNANCiE」にて、HORIE MOBILEトークンを新規発行・販売している。堀江氏のファンに向けたクラウドファンディングの要素が強いが、Web3.0の活用事例の1つといえるだろう。


携帯キャリア4社のAI動向


次に、各社の人工知能(AI)技術に関する取り組みをみてみよう。

この領域については、各社ともに自社内での活用を始めており、ドコモ・KDDI・ソフトバンクはそれぞれ社員のスキル向上や業務効率化のためのアシスタントとしての利用を公表している。

●NTTドコモ

ドコモは2023年に、社内業務のDX 推進や生成AI 活用サービスの提供を目指し、生成AI の社内活用を行う実証実験をスタート。社内業務においては、専門性の高い問い合わせに対して、社内ルールやマニュアルをベースに生成AI が自動回答を行う取り組みを開始している。

一方発表時に生成AIについて一定の評価をしつつも、情報漏洩や解答の正確性に関する課題をあげるなど、慎重な姿勢も示している。

●KDDIグループ

KDDIも、ドコモとほぼ同時期に生成AIの業務利用を開始している。社員によるさまざまなユースケースを検証し、将来的には業務効率化やビジネス展開を目指すという。

また、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)社と連携し、企業・自治体による生成AIの活用を支援することを発表。AWSを活用したインフラ設計・構築・運用保守、データ活用プラットフォームを提供するほか、アプリケーションなどのアジャイル開発を実施する。

そのほかの支援内容としては、データ活用プラットフォームの提供やビジネスマッチングをあげている。

●ソフトバンク

ソフトバンクグループは、キャリア4社のなかでも特に人工知能に注力している。会長兼社長の孫正義氏がグループ戦略発表のなかで「AI 事業を拡大し、一段と強化する」とコメント。さらに人間のような汎用的な知能を持つAGI(汎用人工知能)について「10年以内に実現する」と述べるなど、AIへの熱意にあふれている。

2023年5月には全従業員が生成AIを使えるセキュアな環境を構築し、7月に「ソフトバンクAI 倫理ポリシー」を策定するなど、他社よりも一足はやくAIの活用を進めているようだ。

また、ソフトバンク・ビジョン・ファンドでもグローバルにAI 関連企業への投資を進めている。ソフトバンクにとってAIは「注目の領域」どころか、今後の主力領域であるといえそうだ。

●楽天グループ

楽天は、AI 領域を牽引しているOpenAIと提携し、対話型AI 技術を活用したあらたなサービス開発を目指している。そして第一弾として、投資の基礎知識や自身のレベルにあった投資方法などを教えてくれる「投資AIアシスタント」をサービス化(2023年9月までの試験運用)。

Web3.0・AI動向まとめまた、メッセージングアプリ「Rakuten Viber」の利用者向けに、OpenAI 社の「ChatGPT API」による対話型AIや「DALL·E 2」による画像生成AI が無料で利用可能なサービスを提供している。ユーザー向けサービスのリリースという点では一歩先んじているといえるだろう。


Web3.0・AI動向まとめ


このように、Web3.0、AI への注力度合いには各社違いがある。まとめると、ドコモ・KDDI・楽天はWeb3.0のなかでそれぞれ異なるジャンルに注力しており、ソフトバンクはWeb3.0よりもAI の方をはるかに重視しているといっても過言ではない。


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