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ショート動画マネタイズ特集
金融・経済
AI

#Shorts “戦国時代”を勝ち抜け!「ショート動画マネタイズ・集客マニュアル」

Iolite 編集部
2023/09/28

ショート動画は稼げる?どう稼ぐ?

各動画プラットフォームにおいてショート動画が存在感を増している。最大手のYoutubeが2023年2月にショート動画の収益化を開始したこともあり、このジャンルで一稼ぎすることを目指している人も多いようだ。

ショート動画で収益を獲得することは可能なのか、どれくらい難しいのか、企業はどのように活用すべきかについて実際にショート動画を制作している2人に語ってもらった。

ショート動画の定義とは?

——本日は実際に動画制作でお金を稼いでいる2人に集まってもらい、最近話題のショート動画について聞きたいと思います。さっそくですが、ショート動画の定義を教えてください。

A氏:よろしくお願いします。ショート動画というのはYoutubeなどに投稿できる短尺の動画のことです。プラットフォームごとに多少の違いはありますが、動画の時間は15秒から90秒程度になっています。

B氏:TikTokが2017年にリリースされて、瞬く間に若年層を中心に世界中で流行したことが、ショート動画ブー ムの始まりといわれています。日本でも2018年にはすでに流行り始めていて、その年の新語流行語大賞にも選ばれています。

A氏:TikTokが流行り始めた頃は、ショート動画市場は視聴者も投稿者もほぼ10代から20代前半くらいが中心でした。その後、Instagramが2020年に「Reels」という名称でショート動画の投稿機能を追加し、Youtubeも2021年にショート動画機能をリリースしたことで、動画市場の一分野として完全に確立されました。現在も、日本のショート動画市場はこの3つのサービスがほぼ独占していますね。

B氏:TikTokの初期は学生が自分たちの思い出や内輪ネタを投稿して楽しむもの、というイメージでしたよね。その後、ショート動画で面白いものを投稿するインフルエンサーが誕生するなどして成長しつつ、Instagramの参入によってより幅広い層へとリーチするようになったと思います。

視聴者や投稿者の層としては、TikTokは若年層、InstagramのReelsは20代30代の女性、そしてYoutubeは男性や幅広い年齢層が主な視聴者になっています。


——なぜ一気にショート動画が流行したのでしょうか?

A氏:1番の理由は、誰でも簡単に動画を作成できるからでしょうね。Youtubeの15分動画とかになると、やはり編集にかなりの労力が必要になります。ところがショート動画なら、たとえば学生が同級生の面白い人に一発芸をやってもらって、それをそのまま投稿しても成立しますから。

TikTokの場合は、アプリ内でエフェクトをかけたり音楽を載せたりする機能も搭載されていたので、素人でもなんとなく”それっぽい”動画を作れることが若い人を惹きつけたのだと思います。

B氏:初期のTikTokは、そういう内輪ネタを投稿しあうようなイメージのプラットフォームでした。ただ、しっかりと動画のネタを作り込んで投稿するようなインフルエンサーが次々と誕生し、動画も徐々に内輪ネタから大衆向けへとシフトしたイメージです。

その後にリリースされたReelsでは、TikTokのようなおもしろ動画ではなく、美容情報などの女性向けコンテンツ、それから有名人の投稿がメインコンテンツになっています。

A氏:もともとそのアプリが抱えているユーザー層がそのままショート動画にも反映されていますよね。なので、Youtubeは比較的男性であったり、中年以上の大人向けのコンテンツも少なくない印象です。Youtube動画の投稿は数年前から副業として人気でしたが、ショート動画によってさらにその敷居が低くなりました。


ショート動画収益の仕組み

——なるほど。ところで、ショート動画のマネタイズ方法とはどういうものなんですか?どのような仕組みでお金が入ってくるのでしょうか?

A氏:各プラットフォームごとに、収益獲得方法は異なります。1番オーソドックスなのはYoutubeですね。これは多くの方がご存知だと思いますが、Youtubeに通常の10分程度の動画を投稿すると、視聴回数に応じて広告収益が投稿者に分配されるんです。

ショート動画では、当初この収益分配はなかったのですが、今年2月から再生数に応じて収益が得られるようになっています。

B氏:TikTokとInstagramは、単純な再生数だけで収益を得られるわけではありません。ReelsもTikTokも、米国では試験的にそのような仕組みが始まっていますが、日本ではまだです。この2つのプラットフォームで収益を獲得する方法には、企業案件を受ける・ライブ配信で投げ銭をもらう・外部サイトに誘導する、といったものがあります。

たとえば、ある化粧品をプロモーションしたい企業から依頼を受けて、その化粧品を実際に使ってみた感想などを喋る動画を投稿するのが企業案件ですね。また、外部に誘導する場合はアフィリエイトサイトやLINE@に視聴者を送って、そこで何らかの商品を買ってもらうことになります。

A氏:私が主にYoutubeをメインに活動しているからかもしれませんが、TikTokとInstagramはマネタイズが難しいイメージがあるんですよね。企業案件を受けるためには一定以上のフォロワー数が必要ですし、しかも企業イメージと合うような動画を投稿していないといけま せん。

その点では、とにかく再生数さえ稼げばいいYoutubeのほうが、誰もが始めやすいというイメージがあり ます。

B氏:Youtubeにも、収益化条件がありますよね?

A氏:はい。『チャンネル登録者1,000人以上』に加えて、『直近12ヶ月間の有効な公開動画の総再生数4,000時間』または『直近90日間の有効な公開ショート動画の視聴回数1,000万回』が条件になっています。

実際、この条件は初心者の方にとってはかなり難しいかもしれません。統計によっては、Youtubeで動画投稿を始めた人の9割以上はこの収益化条件を達成できずに断念しているようです。

B氏:それでも、InstagramやTikTokよりは、Youtubeの方が収益化条件はクリアしやすいとは思います。TikTokでライブ配信をして投げ銭を受けるためには審査をクリアする必要があるのですが、だいたい1万人程度のフォロワーがいないと審査をクリアできません。

Instagramの場合も、基本的には1万人以上のフォロワーがいないと、企業案件は受けられませんし、投げ銭も期待できないですね。

つまりこの2つのプラットフォームでは、ショート動画云々ではなく、そもそもある程度の人気を獲得している状態が最低条件といえます。ショート動画はそれを補助するための機能でしかありません。

▶企業案件
企業から依頼を受けて、特定の商品やサービスを紹介すること。企業がインフルエンサーに直接依頼をする場合もあるが、近年では仲介企業を通じて依頼することが多い。

——ちなみに、企業案件を受けるとどの程度の収益が期待できるのですか?

B氏:フォロワー数などによって変動しますが、基本的にはフォロワー数×1円~5円程度とされていますね。つまり3万人フォロワーがいる人が単価3円で案件を受けた場合は、9万円の収益ということになります。このような案件を月にいくつも受ければ、Instagramだけでも生活できるレベルになります。

ただし、企業案件ばかりを投稿しているとフォロワーから不評を買ってしまいますし、信頼性も落ちていくので、企業案件ではない投稿も日々続ける必要があります。また、企業案件を受ける場合は、当然素行に問題があってはいけないので、日々の投稿でもフォロワーの反感を買うような内容は控えなくてはいけません。

A氏:企業案件を大量に受けて稼いでいる人もいますが、どちらかといえば外部サイトに誘導する形の方が稼ぎやすいと思います。たとえばショート動画で商品をオススメして、それを自分のアフィリエイトサイトで販売する、などの方法ですね。

B氏:私は企業案件をインフルエンサーに紹介するような業務や、企業案件のショート動画の制作もしています。Instagramのインフルエンサーは人それぞれだいたい方針が決まっていて、企業案件系かそのほかか、というパターンにわかれていますね。

企業案件を受けるタイプのインフルエンサーは日々の投稿でも好感度に気を使っている方が多く、信頼性を大事にしているイメージですね。また、案件が多いジャンルの仕事を受けられるように、たとえば美容系狙いなら普段の投稿も美容系ばかりにする、といった意識があります。

一方で、外部サイトへの誘導を目的にしている場合は、むしろ企業案件を受けてしまうと普段の活動に制約ができてしまうので、避けたがる方もいます。もしこれから個人でInstagramでマネタイズするのであれば、自分がどのような方向性で活動していきたいのかを明確にするのが良いでしょう。

——Youtubeのショート動画は稼げていますか?

A氏:正直にいうと、かなり厳しいです。

ショート動画の収益は1再生あたり0.003円から0.01円程度とかなり低いんです。一般的な数十分程度のYoutube動画は0.05円~0.2円程度ですが、ショート動画はその10分の1以下。仮に単価が0.01円でも、100万再生で1万円の収益にしかなりません。なので、ショート動画は通常の動画をみてもらうための導線として私は使っています。

B氏:どのプラットフォームでも、ショート動画だけでマネタイズを考えるのはあまりオススメできません。動画 やWebサイトなどと組み合わせてマネタイズを試みるのが現実的でしょうね。

A氏:マネタイズだけをみれば厳しいですが、それでも短時間の動画を投稿して、その反応を確認できるという意味ではショート動画は非常にありがたいサービスです。これからYoutubeで動画投稿をしようと考えている初心者の方は、まずはショート動画を作って動画制作やバズる動画のノウハウを貯めるのがオススメです。


参入しやすくバズりやすいジャンルとは?

——では、ショート動画でバズりやすいのはどのようなジャンルですか?

B氏:プラットフォームごとにバズりやすいジャンルは異なります。TikTokなら、インフルエンサーが企画を行うようなタイプのおもしろ動画が主流でしょうか。Instagramならやはり美容系や健康系などですかね。

ただ、人気ジャンルはすでに多くの投稿者で溢れているので、どちらかといえばまだ流行っていないニッチなジャンルの方が将来性はある気がします。

A氏:Youtubeの場合は本当にあらゆるジャンルがバズる可能性を秘めています。ざっと例をあげると、おもしろ動画、犬や猫系の動画、偉人や日本の凄さを伝える系、カップルがイチャイチャするだけの動画、マジックなど、とにかく最初の数秒で視聴者を惹きつけられるものなら、なんでもバズることがありますから。

——では、もし初心者がこれから参入する場合はどういうジャンルがいいでしょうか?

A氏:自分自身が表に出たい方なら、やはりおもしろ系ですね。ネタはほかの投稿者がやっているものや海外でバズっているものをそのまま流用すればいくらでもありますし。逆に自分は出演したくないというのであれば、有名人のまとめ動画や占い、心理学的な雑学をまとめたもの、ネット掲示板のまとめなどが、比較的作りやすのではないでしょうか。

B氏:Instagramの場合は、美容系がやはりオススメですね。ただし、美容系のインフルエンサーは本当に溢れかえっているので、出演者の見た目が一定水準以上でないと見向きもされません。まれに顔を出さずに企業案件を大量に受けているインフルエンサーもいますが、とにかく説明がわかりやすく、知識が豊富 で、商品の魅力を伝える能力が突出しています。

個人的には、Instagramのインフルエンサーは狙ってなるものではなく、そもそも美容に関連する情報が大好きで、それを発信している人が自然となっていくものかなと思います。

A氏:その点、Youtubeの場合はどのジャンルでも成功できる可能性がありますね。初心者の方に私がよくアドバイスするのは、『バズりそうなジャンル』を狙うのではなく、自分が好きなものや詳しいものを動画にした方が良い、ということです。

ギターが得意ならギターを弾いている動画、雑学に詳しいならそのまとめ動画、アイドル好きならアイドル紹介動画、といった形で、自分が関心を持っているものをわかりやすく伝える動画を作れば、必ず需要がありますから。


バズるショート動画を作るためのポイント

A氏によると、ショート動画にはバズらせるための鉄則があるという。

まず第一に冒頭1秒で視聴者を惹きつけること。見た目のインパクトならイケメンや美女をとにかく映す。それが無理なら、気になる疑問や予想外の結論を先に述べてしまうのだ。

そうすれば視聴者は最後まで動画を見てくれる確率が上がる。最終的な結論が面白くなくても、とにかく最初が肝心。ショート動画の初心者は、「最初の1秒にインパクトがあるかどうか」を考えて動画を制作してみよう。

ちなみにYoutubeのショート動画はタイトルが表示されるため、タイトルのインパクトも重要。「この後、愛猫がまさかの◯◯!」や「健康に興味がない人は絶対に見ないでください」といったように、ついクリックしたくなるようなタイトルをつけるのも非常に有効だ。


企業におけるショート動画の活用法

——では、個人ではなく企業がショート動画を活用する方法はありますか?

B氏:ここまで解説してきた通り、ショート動画自体はマネタイズを目的としてやるようなものではありません。特に企業がやる場合は、完全にプロモーション目的でやるのがいいでしょうね。

A氏:企業が作っているショート動画も最近は増えていますよね。たとえば資生堂はメイクのコツを紹介するショート動画をアップロードしていますし、アトム法律相談所は法律に関する素朴な質問に回答する動画をあげています。

そのほかの例としては、不動産会社が賃貸の紹介をしていたり、人材派遣会社が転職や仕事に関するお悩み相談動画をあげていますね。

B氏:企業がショート動画を作る時は、ストレートに自社サービスを紹介するのではなく、60秒程度で視聴者が楽しんだりスッキリできるような動画にするのがポイントです。たまに『今回紹介するのはこの商品!』という導入から、延々と自社製品について語っている動画があるのですが、当然視聴者はそんなものはみてくれません。

A氏:あとは、その企業や業界のあるあるを紹介する動画は比較的視聴者を獲得しやすいように感じます。たとえば飲食店なら『アルバイトあるある』とか『来たら嬉しい神客』とかですね。

B氏:どういう動画になるのかは制作者のセンス次第なので、どうしても社内で作るのが難しい場合は外注するのがオススメです。私が所属しているのはそういう依頼動画を作る企業ですので(笑)

——ちなみに、ショート動画を外注して作る場合はどれほどの予算が必要になるのですか?

B氏:動画編集だけなら10万円以下で足ります。ただ、企画から撮影、編集までとなると30~50万円程度見積もることが多いですね。たいていの場合、ショート動画は何本もあげてようやくプロモーション効果が出るので、10本で合計数百万円程度という形で依頼を受けることが多いです。

A氏:Bさんのお話はそれなりの企業がしっかりとしたクオリティのものを作りたい場合ですよね。私のような個人の動画制作なら、クラウドソーシングサイトやSNSで個人のクリエイターに依頼するので、もっと予算は下がります。

編集だけなら1万円、企画から撮影までやっても10万円以下で受けてもらえることが多いですね。ただ、ショート動画をわざわざ外注するくらいなら、自分で作ってしまったほうがいいとは思います。


ショート動画の今後は?

——では最後に、ショート動画市場は今後どうなると思いますか?

A氏:どうしても動画の尺が短いので、広告収益が今よりもあがることはないと思います。なので、個人の副業としてショート動画を作るような風潮はすぐになくなるでしょうね。やはりほかの動画やサイトへの導線として活用するのが王道かなと思います。

B氏:私も同感ですね。あとは、個人よりも企業による活用が増えていくと思います。やはり動画はプロモーション効果が非常に大きいので、有名人を起用したテレビCMのような動画が増えていくのではないでしょうか。ショート動画はテレビCMよりも自由度が高いので、面白い動画が増えていくと予想しています。



Profile


A氏
29歳男性。フリーランスの動画クリエイターとして、Youtubeでさまざまなジャンルの「ゆっくり解説」動画を投稿している。好きな動画のジャンルは偉人や歴史モノ。YouTubeでの最高月収は60万円だが、最近ライバルチャンネルが増えてきて苦戦している。


B氏
38歳男性。動画制作会社勤務。主に企業からの依頼を受けて、宣伝用の動画制作やインフルエンサーのアサイン、SNS運用などを代行している。好きなジャンルは犬と猫の動画。個人として、VTuberの切り抜きチャンネルも運営している。



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