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金融・経済
Web3.0

【NEWS】スタンダード・チャータード銀行がデジタル人民元の両替サービスを開始

里見 晃
2023/11/29

外国銀行初の参画

英国大手銀行スタンダード・チャータード(Standard Chartered)銀行の中国法人であるスタンダード・チャータード・チャイナが27日、シティバンク・クリアリングサービス(City Bank Clearing Services)と提携し、中国のCBDC(中央銀行デジタル通貨)であるデジタル人民元(eCNY)の両替サービスを開始したと発表した。

スタンダード・チャータードは中国のCBDCプロジェクトに以前から関与していた外国銀行の1つだ。今回の両替サービス開始は、注文情報の照合や外国為替のコンプライアンスなど越境決済の機能を改善するために、あたらしいB2Bデジタル人民元プラットフォームをローンチしたことを受けて行われたという。

スタンダード・チャーター・チャイナの地域CEOであるチャン・シャオレイ(Zhang Xiaolei)氏は声明で「最初の外資系銀行の1つとして、デジタル人民元事業の試験運用に参加できることを嬉しく思う。デジタル経済の重要なインフラとして、デジタル人民元の発展により、決済体験が改善され、国際金融市場との相互接続が強化されるだろう」と述べた。

スタンダード・チャータード・香港は昨年9月、多国間CBDCブリッジの概念実証テストプロジェクトに参加し、通貨ブリッジのインフラを通じて実在企業による実際の取引に国境を超えた決済サービスを提供し、成功している。

さらに5月に発表されたPwC CN(プライスウォーター・ハウスクーパース・チャイナ)との共同レポートでは、小売、貿易、サプライチェーン金融におけるデジタル人民元の幅広い応用について議論されていた。

また今年初め、シンガポールのDBS銀行はネットワーク上で加盟店と顧客の間でデジタル人民元の交換をテストするパイロット版を開始した。


デジタル人民元の試験運用は着々と拡大


習近平国家主席は以前から、国際貿易で基軸通貨である米ドルに対抗するためにデジタル人民元を推し進めている。米ドルによる支配力の低迷と財政難が再三報じられるなか、習氏の考えは各国メディアの注目を集めていた。ドルに代わる貿易通貨については、8月に開催されたブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの首脳会議でも言及されていた。

中国外国為替規制当局は10月、プログラム可能な「プログラマブルマネー」が金融政策の実施改善に役立つ可能性があると指摘した。中国政府は実際に発行するデジタル人民元に有効期限を組み込むことや、使用先を制限することも検討している。

2020年にデジタル人民元プロジェクトが本格稼働して以来、中国のCBDCへの取り組みは大きく進展している。

現在、26都市でデジタル人民元の試験運用を行っている。10月末時点で取引額は1兆8,000億元(約37兆5,000億円)を超え、デジタルウォレットの総数は1億2,000万に達している。急速に普及が進む背景には、デジタル人民元が金融領域にイノベーションをもたらす可能性があることを浮き彫りにしているといえる。

参考:発表シャオレイ氏声明
画像:Shutterstock


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