SpaceX(スペースX)CEOのイーロン・マスク氏は米国時間19日、自身が保有するSpaceX株を、2027年に米国のすべての子供へ1株ずつ贈るとXで表明した。同氏は投稿で「来年、私が持つSpaceX株を米国のすべての子供に1株ずつ贈る。これは数多く続くうちの最初の一つになる」と述べた。
Next year, I will give one of my SpaceX shares to every kid in America.
— Elon Musk (@elonmusk) October 19, 2026
This will be the first of many.
投稿の前日(米国時間18日)、Anthropicは株主承認を条件に、自社株の5%を公益目的の「Anthropic Public Benefit Fund」に拠出すると発表していた。マスク氏はこの発表に対し、Xで「株式は一般の人々に直接配ることを勧める」とコメントし、さらに「これが私のやろうとしていることだ」と続けた。
Anthropicによると、基金は完全子会社のLLC(有限責任会社)として運営し、伝統的な非営利団体への大口寄付や、特定の層への直接分配などを検討するという。企業価値が基準から50%上がるごとに、取締役会の裁量で最大2%を追加できる仕組みも設けている。基準となる企業価値は公表されていない。
一方、配布の方法や対象となる子供の年齢、国籍・居住の条件は、20日時点で明らかにされていない。ドナルド・トランプ米大統領はTruth Socialで「トランプ口座」を通じた贈与への謝意を示した。マスク氏自身は同口座の利用を明言していないが、口座を推進する投資家のブラッド・ガースナー氏に対し、実現を後押ししたことへの謝意を示す投稿をしたと報じられている。
米国勢調査局によると、2025年7月1日時点の18歳未満の人口は72,021,348人だ。18歳未満の全員に1株ずつ贈る場合、19日のSpaceX株の終値147.96ドルで総額約106.6億ドルとなる。IPO(新規株式公開)の公開価格135ドルで換算しても、約97.2億ドルに及ぶ。
また、SEC(米証券取引委員会)への提出書類によると、マスク氏はオプションなどを含め、クラスA株849,494,440株とクラスB株5,569,053,075株を実質保有している。贈与に必要な株数は、この合計約64.2億株の約1.1%にあたる。SpaceXの発行済み株式数(7月28日時点で約131.8億株)に占める割合は約0.55%だ。8月14日のCursor買収完了にともなう約3.9億株の新株発行を加味すると、約0.53%となる。
なお、SpaceX社長兼COOのグウィン・ショットウェル氏も2026年7月、夫とともに200万人超の子供のトランプ口座へSpaceX株を1株ずつ贈ると表明している。マスク氏の計画は人数ベースでその約36倍にあたる。マイケル・デル氏夫妻が2025年12月に表明した62.5億ドルの拠出と比べると、金額では約1.7倍となる。
トランプ口座は、2025年7月4日に成立した通称「One Big Beautiful Bill Act」にもとづく、子供向けの税制優遇付き投資口座で、社会保障番号を持つ米国市民の子供が対象だ。米財務省とIRS(米内国歳入庁)が9月30日に施行した暫定規則では、口座へ株式を拠出できるのは政府や501(c)(3)団体(非営利の公益団体)などに限られ、個人はこれらの団体を通じて拠出する必要がある。
同規則は、拠出する株式を米国法人が発行した譲渡制限のない上場株と定め、受け取った株式には原則5年(受益者が17歳になる年の年末が先に来る場合はそこまで)の保有期間を設けている。拠出先は、18歳未満の全員や特定の州・生年の子供全員といった集団単位で指定する仕組みで、地域と生年を組み合わせた5,000人以上の集団も認められる。
さらに、SpaceXの目論見書によると、マスク氏の保有株には、IPOの価格決定日から366日間、2027年6月12日までのロックアップ(売却制限)がかかっており、早期解除の規定はない。善意の贈与は例外として認められるが、受贈者は残りの期間のロックアップ契約に署名しなければならない。
今後、SpaceXは米国時間20日の取引終了後に、2026年7〜9月期の決算を発表する予定だ。