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「未来志向」の1年となった2023年のWeb3.0業界 2024年の注目トピックと編集部が選ぶ年間記事“10選”

Iolite 編集部
2023/12/28

Web3.0、2023年の振り返りと2024年の展望

2023年もまもなく終わりを迎えようとしている。Web3.0業界では暗号資産(仮想通貨)市場の盛り上がりを受け、来年以降の期待感を抱きながら年越しを迎えることとなったのではないだろうか。

2023年のWeb3.0業界を一言であらわすのであれば、“未来志向”という言葉が真っ先に思い浮かぶところだ。

昨年はさまざまな不祥事も相まって、ネガティブな印象が強い1年であった。そのため、2023年は低迷する相場や世界的に強まった逆風からの脱却がテーマになったともいえる。


飛躍を遂げたAI領域



Web3.0業界の外に目を向けると、今年は世界的にAIの台頭が顕著な1年になった。日本においても注目度は高く、総務省が公表した「令和5年版情報通信白書」によれば、今後もAI市場は拡大し、2027年には1兆1,034億7,700万円まで国内の市場規模は拡大すると予測されている。

特に生成AIに対する需要が急激に高まった。半導体大手の米エヌビディアが過去最高の業績を叩き出したことからもわかるように、AIに対する期待感は最高潮に達している。

一方で、AIを使い悪意ある画像や動画を作成する「ディープフェイク」は社会問題に発展している。日本においても、岸田文雄首相のフェイク動画が作られ大きな問題となった。また、欧州を中心に各国でもAIを規制する動きがみられており、どこまで技術発展を許容して活用していくかは今後も議論が重ねられていくことになる。


暗号資産市場に好影響を与えた利上げ動向とビットコイン現物ETF承認への期待


また、金融市場ではFRB(米連邦準備制度委員会)による利上げに目処が立ったことから、下半期にかけて楽観論が強まった。記事執筆時点でナスダックは年初来比約43%高、日経平均においても約 29%高となるなど、一時期の金融緩和水準ほどまで株価は戻っている。日経平均に関しては、1990年3月以来高値まで上昇した格好だ。

FRBは7月に政策金利を0.25%引き上げて以来、据え置きを続けている。そのため、来年には利下げに転じるとの思惑が広がり、その期待感が株価に反映されている。早ければ3月にも利下げに転じるとの見方もあり、同時期には暗号資産市場への資金流入がみられる可能性もあるだろう。

株価の動向はWeb3.0業界にも影響を与えている。暗号資産市場は昨年11月以降、市況悪化に伴い「冬の時代」に突入し、ビットコインも年初は16,000ドル(約230万円)からのスタートであった。しかし株価同様、秋にかけて価格は大きく上昇し、12月初旬にはついに昨年5月以来となる44,000ドル(約630万円)まで値を伸ばした。

とはいえ、ビットコイン価格は4月から7月にかけて到達した30,000ドル(約430万円)で頭打ちとなり、9月から10月初旬頃までは26,000ドル(約370万円)を彷徨う展開となっていた。

この状況を変えたのが、米国におけるビットコイン現物ETFの承認可否判断だ。10月中旬、世界最大手の資産運用会社ブラックロックが申請したビットコイン現物ETFが承認されたとの報道が流れた。実際にはフェイクニュースであったが、これを受けビットコイン価格は大幅に上昇した。

フェイクニュースの布石はあった。暗号資産運用大手のグレースケール(Grayscale)が提供するGBTC(ビットコイン投資信託)の現物ETF転換を巡る裁判で、SEC(米証券取引委員会)は期限までに控訴しなかった。SECはこの裁判で敗訴しており、裁判所から改めてGBTCの現物ETF転換を審査するよう命じられていた。

判決が確定したことにより、ビットコイン現物ETFを申請するすべての企業に追い風が吹く状況が訪れている。

現在、米国におけるビットコイン現物ETFの申請は13件にのぼる。そのうち、大半のETFを巡っては現地時間12月29日までに申請を完了しない場合、1月初旬の承認はないとSECは言及している。このことからも、ビットコイン現物ETFの承認はもはや秒読みともいえる状況で、市場も徐々にこれを折り込み始めつつある。早ければ、1月5日にも承認される可能性が高い。

SECはビットコイン現物ETFに対する見方を軟化させつつあるが、業界に対して厳しいスタンスを取り続ける可能性は残されている。

今年、SECはコインベースやバイナンスといった大手暗号資産取引所を相次いで提訴しており、業界の締め付けを強化した。その一方で、2020年より係争していたリップル社とのXRPの未登録有価証券を巡る裁判では事実上の敗北を喫している。SECがビットコイン現物ETFに対する姿勢を軟化させた背景には、リップルとの裁判で敗訴したことも影響を与えた可能性がある。少なくとも、長年続いた係争に目処が立ったことは暗号資産業界に好影響を与えたといえる。


SECとの戦い、そしてバイナンス・CZ氏辞任で迎えた転換点


業界に大きな衝撃を与えた出来事としては、バイナンスの創業者でありCEOを務めていたCZ氏の辞任があげられる。同氏の辞任は、いわば業界における歴史の転換点であるといえるだろう。

SECを始めとした規制当局は、バイナンス及び米国法人のバイナンスUS、そしてCZ氏をマネーロンダリング対策違反等で相次いで提訴した。バイナンスは当初、規制当局と争う姿勢をみせてきたが、11月に入り状況は一転。自らの不備を認め、司法取引に応じ和解に至った。

和解金は米国における企業に科した罰金として、過去最大の規模の43億ドル(約6,080億円)。CZ氏も個人として5,000万ドル(約70億円)を支払うこととなった。和解条件にはCZ氏が経営から退き、バイナンスとの関与を3年間禁じる内容も盛り込まれた。また、バイナンス自体も5年間にわたって監督されることとなる。

しかし、この出来事自体はネガティブなものではないと考えることもできる。規制当局との戦いが長引けば長引くほど、規制を含め業界の進展は滞る可能性がある。万が一、バイナンスが壊滅的な状況に陥った場合、業界全体に多大な影響が及ぶことは想像にたやすい。また、バイナンスの企業としての成長も妨げられることになるだろう。

こうしたことも踏まえれば、バイナンスやCZ氏の決断は2023年を象徴する未来志向的なものであったといえる。

バイナンスのあらたなCEOに就いたのは金融業界で30年以上のキャリアを持ち、グローバルで規制当局とのコミュニケーションを図ってきたリチャード・テン氏だ。米国との規制を巡る戦い、そして新興暗号資産取引所の台頭などによりシェアが縮小しつつあるバイナンスを同氏がどのように導いていくのか、その手腕に今後ますます注目が集まるものとみられる。


ステーブルコインや税制改正などWeb3.0領域の機運高まる日本


国内に目を向ければ、今年はさまざまな点で進展がみられた年となった。企業に対する期末評価課税に関する要件の緩和や、レバレッジ倍率の改正に向け機運が高まっている点など、まさに業界がこれまで求めてきた要望が形になりつつある。

なかでも、改正資金決済法の施行に伴い、ステーブルコインに関する規制が整備され、決済手段として扱えるようになった点は大きな前進であるといえる。同時に、あらたな領域で覇権を握るための争いがより激化していくこととなる。

すでに三菱UFJや、ステーブルコインなどのデジタルアセットに関するプラットフォーム「プログマ(Progmat)」を手がけるプログマ社などは動きを強めている。現時点では、両者がステーブルコイン領域で一歩抜きんでた存在となりつつある。

日本円に裏付けられ資金決済法に基づいたステーブルコインは来年6月前後に誕生するものとみられる。国内におけるステーブルコインの先駆けであるJPYCや、バイナンスの日本法人であるバイナンスジャパンなども資金決済法に基づいたステーブルコインを用途にあわせて発行する意思を示していることから、2024年の重要なキーワードとしてステーブルコインは注目すべき領域になることは必然だ。


2024年にWeb3.0領域で注目すべきイベント


2024年に注目すべきイベントとしては、下記があげられる。


  • ビットコイン現物ETFの承認
  • ビットコイン4回目の半減期
  • 米大統領選挙
  • RWA(現実資産)の浸透


ビットコイン現物ETFの承認はいうまでもないが、3月から4月にかけて訪れると見込まれる半減期は要注目のイベントといえる。ビットコインは半減期を境に大きく価格を伸ばしており、今回も例外なく注目しなければならない。

また、11月に予定されている米大統領選はWeb3.0領域にとどまらず、全世界に影響を及ぼすイベントとなる。万が一、政権が再び共和党へと移るようなことがあれば、Web3.0領域に対するスタンスも大きく変わることが予想される。さらに、経済の動向次第では暗号資産の大幅な価格変動も起こりうる。

そして、今年後半にかけて注目度が高まりつつあるRWAは、2024年にさらなるバズワードになる可能性も秘めている。不動産やコモディティなどのトークン化は兼ねてより注目されてきたが、法整備などが各国で進みつつあることから、本格的に需要が増していく可能性がある。

日本においても、SBIホールディングスと三井住友ファイナンシャルグループによって設立された大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)において、日本初となるセキュリティトークンの売買取引が12月より開始された。記事執筆時点では取り扱い銘柄は2種類にとどまるが、2024年にはその数がさらに増えていくことも見込まれる。


冬を超え春に向かい花が芽吹き始める1年に


2023年を未来志向が顕著な年と表現したが、特に日本はその代表格ではなかったかと考える。年の瀬に閣議決定された与党税制改正大網においても、2年連続で暗号資産税制の一部緩和が盛り込まれた。内容自体は昨年ほどインパクトを残すものではなかったと考えるが、確実に歩を進めている点は評価できるだろう。今後も有望なスタートアップの海外流出を防ぐべく、まずは企業に対する税制改正が行われる可能性が高い。いずれは個人に対する暗号資産税制にもメスが入るものとみられるが、現状では長き道のりになるとみる。

また、日本において特に大企業によるWeb3.0領域への進出が目立った。日本がこの領域で世界と戦っていくにはやはり大企業の力が必要不可欠となる。2024年はさらにこの動きが加速し、Web3.0ネイティブな企業との協業事例が増えていくことだろう。

一方、2023年を「Web3.0マスアダプションの年」と位置付ける声が年初から聞こえてきたが、実際には市況なども関係し大幅に浸透したとは言い難い状況であったといえる。マスアダプションを進める要素として大きな期待が寄せられていたブロックチェーンゲームも客観的にみればそれほどインパクトを与えたとはいえない。エコシステムを緻密に設計しつつ、ゲームとしての面白さを追求しなければならないという難しさが大きな課題として立ちはだかった印象だ。

2024年はビットコイン現物ETFの承認やビットコインの半減期などによって上半期は比較的明るい話題が多くなり、それが市況にも反映される可能性がある。

その一方で、下半期は世界経済の動向などを加味し、少々波乱含みの展開が訪れる可能性も考慮すべきだろう。

過去のサイクル等を踏まえれば、市況は2025年にピークが訪れる可能性があると指摘する声が度々見受けられる。それを踏まえれば、2024年はジャンプアップのための準備期間として極めて重要なフェーズとなる。

冬を乗り越え着実に春に向かいつつあるWeb3.0業界。本格的に芽吹くにはまだ時間を要するかもしれないが、2024年はさまざまな花が少しずつ咲き始める1年になるかもしれない。



編集部が選ぶ、2023年を彩る記事“10選”


今年もさまざまな出来事があったWeb3.0業界。そんな2023年を彩った出来事を編集部独自の目線で振り返る。

今回、2023年の出来事を振り返るべく、今年Ioliteにおいて「閲覧された特集記事」5本のほか、編集部が選んだ「重要ニュース記事」5本を紹介する。


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編集部が選ぶ「2023年重要ニュース」


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ステーブルコインを電子決済手段として定義した改正資金決済法が施行され、日本円などの法定通貨や価値を裏付けられたステーブルコインの発行が可能となった。これによりさまざまな企業等の動きが加速していったことから、まさに2023年を象徴する出来事の1つであるといえる。記事はこちら


・米大手資産運用会社ブラックロック、ビットコインETFを申請(06/16)

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デジタル資産の発行・管理基盤である「プログマコイン(Progmat Coin)」を手がける会社としてProgmat, Incが設立。当初は三菱UFJ信託銀行において手がけられていたが、分社化したことによりこれまで以上にステーブルコインを中心とした動きが加速度的に展開されるものとみられる。記事はこちら


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バイナンスの創業者にして業界を代表する人物であるCZ氏がCEOを辞任した。SECとCFTCなどから提訴されていた内容について認め、和解した格好だが、CZ氏が一線を退くというのは業界が転換点を迎えていることを象徴する出来事であった。記事はこちら


Iolite 編集部