本記事のキーポイント
1.情報の透明化と業界変革
不透明な諸費用が横行していた中古車業界に対し、YouTube等で原価や手数料を公開して情報の非対称性を解消。支払総額表示の義務化など業界全体の透明化を後押しし、ユーザーが安心して購入できる環境の整備に貢献した。
2.AI活用とブロックチェーンによる信頼構築
生成AIで顧客対応の平準化を図る一方、人間は情緒的な対応に集中する役割分担を推進。さらにブロックチェーンで改ざん不能な整備履歴データを管理し、将来の査定額へ正当に反映させるあたらしい信頼の仕組みに挑む。
3.「クルマ屋3.0」とプラットフォーム構想
異業種展開で顧客接点を拡大しつつ、蓄積されたデータと信用を軸にCtoC取引のインフラ化や仲介プラットフォーム構築を目指す。ネットで中古車がワンクリック購入できる「クルマ屋3.0」の流通革命を掲げ、業界構造の変革に挑む。
──「BUDDICA(バディカ)」のネーミングのルーツを教えてください。
中野優作(以下、中野):起業時に「どんな会社でありたいか」を考え、「相棒(Buddy)」と「車(Car)」を掛け合わせて名付けました。単に車を売るだけでなく、お客様、社員、取引先のすべての人に心から信頼され、頼られる存在でありたいという想いを込めています。
──従来の中古車業界は在庫を自社で囲い込み、情報の非対称性で利益を上げる、という中央集権的なモデルが主流でした。一方で、BUDDICAが「ライバルへの在庫開放」や「原価・手数料の透明化」を実践したことによって業界に変化はありましたか?
中野:私1人が業界を変えたというとおこがましいですが、2022年8月からのYouTube発信は確実なきっかけになったと感じています。
それまでの中古車業界は、消費者からみれば完全にブラックボックスでした。中古車は7年に1度しか買わない、といわれるほど購入頻度が低いため、一般のお客様には手数料の相場もオプションの必要性もわかりません。
たとえば、実務コスト10,000円程度の車庫証明費用を80,000円も取るなど、知識のなさに付け込んだ手数料ビジネスが横行していました。本体価格を安くみせて諸費用で帳尻をあわせる手法は一般の方には見抜けないため、私は「すべてYouTubeで話そう」と決めたのです。
──情報の非対称性を、動画というメディアを通じて一気に解消しにいったわけですね。
中野:本体価格が同じ200万円でも、他社では諸費用が上乗せされて総額が20万円以上高くなることが日常茶飯事だったため、よくいただく質問を徹底的に解説しました。
発信を続けるうちに動画が多くの方に届き、お客様が警戒し始めたことで、他社も手数料を下げざるを得なくなり、結果として価格の均一化が進んでいったと考えています。
さらに大きかったのは、発信開始から約1年後の2023年10月にルール(自動車公正競争規約)が改定され、中古車の「支払総額表示」が義務化されたことです。
業界の先輩方による長年の闘いに加え、私たちのYouTube発信や業界の不正問題などが重なった結果、ようやく総額表示で安心して買える当たり前の仕組みができました。この2年ほどで、業界の透明性は一気に加速したと感じています。
