本記事のキーポイント
1.高税率ペインの解消と高度なガバナンス
日本国内における、暗号資産売却は最高55%の税負担が生じるという投資家の課題に対し、売却不要のデジタルアセット担保ローンを展開。平均金融歴18.5年の知見に基づく既存金融レベルのガバナンスを敷き、高い安心感と信頼を獲得している。
2.円建て対応による利便性と資金循環の創出
資産活用サービスでは税金計算の煩雑化を回避するため貸借料の日本円建て支払いを導入。暗号資産というデジタルと日本円というリアルの資金循環を創出し、大和証券との連携を通じた総資産コンサルティングの推進にも貢献する。
3.ストックビジネスへのシフトとRWAへの展開
暗号資産市場がフローからストックビジネスへ移行する流れを捉え、担保ローンを軸に事業を拡大。将来は債券などのトークン化資産(RWA)も対象アセットへ組み込むことを見据え、次世代の金融イノベーションを牽引する。
──現在、国内外で暗号資産を取り巻く環境が大きく変わりつつあります。こうした状況を踏まえ、日本において暗号資産は今後どのような存在として機能していくと思いますか?
神脇啓志(以下、神脇):今後、あらたなアセットクラスとして暗号資産のマスアダプションが進んでいくのではないかと思います。といっても一部の主要な銘柄に限られる可能性があります。
きっかけとしては、米国と同様に国内でも暗号資産ETFの上場が大きな転換点になるでしょう。米国から遅れる形ではありますが、暗号資産の金商法への移行や政令改正などにより、ようやく国内の機関投資家にも既存の投資商品(ETF)という枠組みのなかでビットコイン(BTC)などの暗号資産にアクセスできる道が解放される見込みです。
個人投資家にとっても既存の証券口座を通じてETFを購入することで暗号資産へアクセスできる機会が創出されます。暗号資産ETFの登場と同時期にあらたな税制が適用される見込みですので、利益に対する税率の低下や損益通算などの利便性が高まり、暗号資産への関心がより高まるだろうと考えています。
また、「仮想通貨」から「暗号資産」へと呼称が変わっていったように、ビットコインは決済手段というよりも、ゴールド(金)のようなオルタナティブ資産という文脈で語られるようになるでしょう。
──国内で議論が進んでいる金商法の改正は多くの事業者に影響を与えると思いますが、現時点で金商法移行後、Fintertechにどのような影響が及ぶと考えていますか?
神脇:我々は現在、貸金業法のもとでの暗号資産を担保としたローンサービス「デジタルアセット担保ローン」のほか、貸暗号資産サービス「デジタルアセットステーク(消費貸借)」を提供しています。両サービスとも「暗号資産の借り入れ」にあたるため、金商法の改正に伴いライセンス取得が必要になってくる見込みです。
───Fintertechは大和証券グループ本社及びクレディセゾンの合弁会社として設立されましたが、両社の強みをどのように活かしていて、それがどのようにユーザーへ還元されていると思いますか?
神脇:現在提供している「デジタルアセット担保ローン」は、まさに大和証券で提供されている「証券担保ローンの暗号資産版」として位置づけられます。つまり、デジタルアセット領域において既存金融の商品やスキームを持ち込み、お客様に提供しているのが我々の特徴です。
社内リソースに関しても大和証券とクレディセゾンからの出向者で構成されており、在籍者の金融機関勤務年数は平均18.5年となっています。そのため、リスクマネジメントやコンプライアンスなどの領域においては、既存金融レベルの高度な知見や経験をもとに事業が支えられています。
既存金融レベルの堅い守り、ガバナンスを敷いてビジネスを行っているため、ベンチャー企業と比較すると大企業のルールのもとで動く分、フットワークは少し重くなってしまいます。しかし、厳正に守りを固めながらサービスを提供している点が、お客様に大きな安心感を与えていると考えています。
また、ビットコインが誕生した2009年から現在まで約17年が経ちますが、我々はそのうち6年間にわたり事業を続けてきました。この業界においては「老舗」の部類に入りますので、その実績も信頼につながっているでしょう。
さらに、証券会社グループならではの特徴として、営業担当に日本株の元セールストレーダーや支店の元営業員がいます。お客様とのコミュニケーションにおいて、既存金融のマーケット市況を交えながらお話しさせていただくこともあり、証券会社グループらしい会話ができる点も特徴といえます。
──先ほど言及があったように、大和証券においても一般的な「証券担保ローン」があるなかで、「デジタルアセット担保ローン」はどのような位置づけで、どのように棲み分けて提供されているのですか?
神脇:Fintertechは、大和証券グループの「出島機関」として、最先端のテクノロジーを活用した次世代金融サービスを創出し、展開することを目的に立ち上げられました。
そのため、商品性による棲み分けというよりは、扱うアセットの領域によって大和証券と弊社で使いわけているという形です。最近の話題でいうと、RWA(現実資産)トークンと呼ばれる領域は、大和証券グループ各社にてすでに取り扱っていますが、まだ黎明期にあるデジタルアセットの領域についてはFintertechが大和証券グループの出島組織としてビジネスを行っており、その1つが「デジタルアセット担保ローン」となっています。
