本記事のキーポイント
1.MACHIDUCREW DAO
広島県三原市の第三セクターが展開するゲーム型DAOだ。RPGのようにクエストを通じて楽しみながら地域課題に貢献できる仕組みを構築し、心理的ハードルを下げることで若者や市外関係者を含む新たな担い手の育成を目指している。
2.段階的なクエスト設計
認知から貢献までフェーズに応じたクエストを用意。達成報告で貯まるYASSAトークンによって貢献度や信頼を可視化する。祭り運営だけでなく空き家再生など多様な課題解決へと関心や活動の幅を広げる好循環を生み出している。
3.意思決定への参画と展望
投機性を排した設計で、資金確保の持続可能性が課題となる。今後はDAO内での貢献度や投票結果を観光大使選考などの実際の地域施策や意思決定へ連携・反映させ、多様な人材が主体的に関われる持続可能な自治モデルの確立を目指す。
──株式会社まちづくり三原とはどのような活動を行っていますか?
泉 太貴(以下、泉):まちづくり三原は、広島県三原市の「中心市街地活性化」を目的とした第三セクター※1です。三原市や三原商工会議所、三原観光協会などが共同出資して設立されました。まちのマネジメントを始め、空き店舗や空き家の活用、創業支援、マルシェや祭りの企画、AIカメラによるデータ収集、関係人口の創出など、まちなかのさまざまな課題解決に取り組んでいます。
私自身も、大学時代にほかの地域でまちづくりに携わった経験を活かし、地元・三原に戻ってまちづくり三原での活動を始めました。また、地域では「誰が何を発信するか」が重要だと考え、現在は、三原商栄会連合会の会長や、三原観光協会の副会長も務めています。
三原市に関心を持った人が、段階的にまちづくりにかかわれるロールプレイングゲーム形式のDAO。──2024年11月から実証を開始した「MACHIDUCREW DAO(まちづクルー・ダオ)」は、どのような経緯で始まったのでしょうか。
泉:弊社では、イベントを開催するだけでなく、「まちづくりにかかわる人を増やす」ことを重視しています。行政だけでなく、市民や事業者、学生、市外・県外の方々も継続的に地域に関与できる仕組みづくりを目指しています。MACHIDUCREW DAOも、その一環として生まれた取り組みです。三原市のまちづくりへの貢献度を可視化し、ゲーム感覚でまちづくりに参加できる仕組みを構築しました。
──具体的な仕組みを教えてください。
泉:「まちづくり」や「ボランティア」には、「責任が重そう」「関係者でないと参加しづらい」といった印象を持つ方も多いと思います。そこで本事業では、地域課題をいきなり“義務”として提示するのではなく、ロールプレイングゲームのようにクエストを設定し、楽しみながら少しずつまちづくりにかかわれる仕組みにしました。クエストを達成すると「YASSA(やっさ)トークン」が貯まり、特典を得たりレベルアップしたりすることで、まちづくりへの貢献度がみえるようになります。最終的には、三原市の伝統的な祭り「やっさ祭り」や「浮城まつり」を盛り上げる担い手の育成を見据えています。
MACHIDUCREW DAOには約800人が登録し、1日平均約40件のクエスト達成報告がある(2026年6月取材時点)。