1.オンチェーン金融との「融合の理由」
銀行は預金流出の危機に直面しつつも、日本の独自制度である信託の仕組みを活用し、自らの管理下に資金を留めながらステーブルコインの発行など防衛策としてオンチェーン化へ足を踏み入れている。
2.次世代顧客「AIエージェント」への適応
オンチェーン化を急ぐ最大の理由は、人間に代わり24時間365日自律的に決済を行うAIエージェントをあらたな顧客層として迎え入れるためであり、これまでの営業時間や人間主体の金融インフラからの脱却が求められている。
3.あらたな金融インフラと地域経済の変革
決済インフラの24時間化や既存インフラとの摩擦が予想されるなか、地銀は地域通貨や地域資産のトークン化を通じて決済手数料の主導権を取り戻し、あらたな収益源を創出する機会としてブロックチェーンを活用しようとしている。
銀行の本業は、お金を預かることではない。預かった預金を元手に貸し出し、その利ざやを得ることだ。だからこそ銀行は、店舗を構え、金利をつけ、あらゆる手を使って預金を集めてきた。100年以上、その前提が疑われたことはない。
ところが、ブロックチェーン技術の普及により預金が銀行の外へ出ていく道が開こうとしている。ステーブルコインは法定通貨の価値と連動し、24時間動き、銀行口座を経由せずに送れる。これが決済の主役になれば、人々は必要な分だけを残して、あとは銀行にお金を置かなくなるかもしれない。銀行の資金基盤が縮小するということだ。
つまり銀行にとってオンチェーン金融は、本来なら歓迎できるものではない。むしろ自らの事業を削りにくる相手であるという考え方が定石だ。
それにもかかわらず、日本の銀行は今、そのオンチェーン金融へ自ら足を踏み入れようとしている。敵対するはずの技術に、なぜ手を伸ばすのか。そこには、外からみえているほど単純ではない事情がある。まず、2026年に起きた出来事を整理しよう。
