1.暗号資産の金商法化と規制体系の移行
従来の決済手段としての位置づけから、暗号資産を有価証券とは異なる金融商品と定義し、資金決済法から金商法(金融商品取引法)を中心とした規制体系へ移行する改正法が成立した。
2.インサイダー取引規制と情報公表の義務化
市場の公正性を高めるため、発行者などに未公表の重要事実を利用した売買を禁じるインサイダー取引規制を新設した。また、特定の発行者が存在する暗号資産には、情報公表の義務化が課される。
3.申告分離課税の導入とETF(上場投資信託)解禁の可能性
金商法化を前提に、暗号資産の売却益を最大55%の総合課税から20.315%の申告分離課税へ移行し、損失繰越も可能となる方針。この制度整備により、機関投資家の参入や暗号資産ETFの国内解禁に向けた期待が高まっている。
日本の暗号資産規制は2017年4月施行の改正資金決済法により、暗号資産を決済手段として利用することを前提に整備された。しかし、その後の市場では価格変動による収益獲得を目的とした取引が拡大し、制度との乖離が課題となっていた。JVCEA(日本暗号資産等取引業協会)によると、国内の暗号資産交換業者における口座開設数は2026年7月時点で延べ1,400万口座を超え、利用者預託金残高も2兆円にのぼる。
一方、暗号資産に関する相談件数も増加傾向にあり、市場の拡大に応じた利用者保護と市場規律の強化が求められていた。こうした国内市場の状況に加え、国際的にも暗号資産を金融商品の一部として扱う動きが広がるなか、米国ではSEC(米証券取引委員会)がビットコイン現物ETFを承認し、欧州ではMiCA(暗号資産市場規則)の適用が開始された。
日本では「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」が2026年7月15日に成立した。金融庁は改正の趣旨として、暗号資産が投資対象として取引されている実態を踏まえ、資金決済法中心の制度から金融商品取引法(以下、金商法)を中心とした規制体系へ移行すると説明している。また、暗号資産を「有価証券とは異なる金融商品」と位置づけ、その特性に応じた規律を整備する方針を示した。