今では考えられないほど、幼少期はよく泣いていたことを思い出した。あの頃のように純粋で人間らしく生きることができた夏の終わりの話をしたい。
学生時代の夏の暑い日、友人とスキューバダイビングのライセンスをとりに行った。
当時インストラクターから教わったのは、荒波に揉まれて身の危険を感じた時には、近くの大きな岩にしがみ付いて上級者の助けを求めること。かといって凪の海も魅力がない。ヨットは風を受けて進むが、最も困るのは無風の時だという。一見向かい風の方が進み難いようにも思えるが、「タッキング(tacking)」と呼ばれる方法で帆を斜めにして向かい風を受け、ジグザグに進めるというのだ。どこか人生にも似たものを感じるのは私だけだろうか。