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Definition「無に名を与え命が宿る瞬間」—— Vol.21 編集後記

2026/07/30 10:00

八木 紀彰

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Definition「無に名を与え命が宿る瞬間」—— Vol.21 編集後記
目次
  1. Editor’s Note「無に名を与え命が宿る瞬間」

Editor’s Note「無に名を与え命が宿る瞬間」

盲ろう者の教育・権利擁護の先駆者として知られるヘレン・ケラーには、あまりにも有名で、立ち返りたくなるエピソードがある。

1歳7ヵ月の頃に患った病で光と音を失っていたケラーは、それ以前の言語習得がなかったため、意思を伝えられないもどかしさから、日々激しいかんしゃくを繰り返していた。

7歳になる前のある日、ケラーのもとにアン・マンスフィールド・サリバンが家庭教師としてやって来た。サリバンは着任直後から、マグカップ(mug)や水(water)といった単語を、指文字でケラーの手のひらに熱心に綴り続けた。しかしケラーは、それを単なる指の動きとして面白がるだけで、それが意味を持つ言葉だとは理解していなかった。

転機が訪れたのは、それから約1ヵ月後のこと。2人が散歩の途中で井戸小屋へ行き、誰かがポンプで水を汲み上げているところにケラーが手を差し出したときである。片手に冷たい水が流れ落ちるなか、サリバンはもう片方の手のひらに「w-a-t-e-r」と指文字を綴った。

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