
ルーシー・リグビー財務省経済担当相は2026年10月6日、英国初のデジタルネイティブ国債「DIGIT(Digital Gilt Instrument)」について、2027年第1四半期に予定するパイロット発行の共同主幹事6社を任命したと発表した。DIGITは既存の証券を事後的にトークン化するのではなく、分散型台帳技術で直接組成・決済される完全なデジタル債券である。
共同主幹事には、バークレイズ、HSBC、ロイズ、モルガン・スタンレー、ナットウエスト、RBCキャピタルマーケッツという世界有数の金融機関6社が選定された。特にHSBCは技術プロバイダーを兼務し、すでにグローバル市場で50億ドル超(2026年7月時点の報道)の発行実績を持つ自社の「HSBC Orion」基盤を提供している。さらに、LSEG(ロンドン証券取引所グループ)のDSD(デジタル証券預託機関)との二者間リンクの開発も進めており(7月にMoU締結)、プラットフォームの孤立化を防ぐ狙いだ。
この実運用を支えているのは、精緻に組み上げられた法規制のディテールである。FCA(金融行動監視機構)とイングランド銀行が運営するDSS(デジタル証券サンドボックス)において、HSBCは2026年7月、現実の資金と資産を用いたライブ取引を許可する「Gate 2」承認をイングランド銀行からいち早く取得した。
また、財務省は2026年4月、クリス・ウーラード氏を「ホールセール・デジタル市場チャンピオン」に任命し、同氏と協働する54社の業界横断タスクフォースが組成された。これとは別に政府は9月、暗号資産規制を修正するSI(法定文書)を議会に提出し、ステーブルコイン決済事業者が暗号資産の認可を取得した後、決済規制改革に伴って再び認可を取り直すという二重の手続きを回避する手当てを講じている。