AIを使うことはもう特別なことではなくなってきた。文章を書く時、調べものをする時、アイデアが詰まった時、とりあえずAIに聞いてみる。少し前なら驚いていたような使い方も、今では日常のなかに自然に入り込みつつある。
ただ、AIを使うこととAIに愛着を持つことは別の話だ。
道具として便利であることと、「自分だけの存在」だと感じられることは同じではない。毎回ただ呼び出して、答えをもらって、用が済んだら閉じる。その関係のままだと、AIは生活に入り込んではいても、ユーザーとの間に記憶や愛着や物語は生まれにくい。
では、会話を重ねるほど自分に近づき、少しずつ育ち、気づけば「自分のAI」と呼びたくなる存在がいたらどうだろう。
Aitamaは、そんな問いから生まれたプロジェクトだ。AIの卵から生まれ、ユーザーとのやり取りを通じて育っていく次世代AIコンパニオン。いうならば、“AIのたまごっち”である。
このAitamaを立ち上げたのが、台湾出身のMaxi Kuan氏だ。日本とのかかわりは長く、かつては日本のゲーム開発プロジェクトにかかわり、その後はWeb3.0領域へ。元素騎士オンラインにも携わってきた。ゲーム、ブロックチェーン、AI。いくつもの文脈を横断してきたKuan氏が、なぜ今「AIの卵」を作ろうとしているのか。
今回GAMIESは“AIするパートナー”を目指すAitamaにインタビューをしてみた。
──まず、Kuanさんご自身について伺いたいです。台湾出身でありながら、日本のゲームやWeb3.0領域にも深くかかわってこられたと聞いています。Aitamaに至るまで、どのような経緯があったのでしょうか。
Maxi Kuan氏:台湾出身ですが、日本とはもう数十年かかわっています。日本にも住んでいましたし、仕事でも日本との接点はずっとありました。当時はゲームのローカライゼーションの部署で働いていて、そこから日本のゲーム業界の方々との縁ができました。
その後、2017年頃からブロックチェーンの領域に入りました。当時はまだ、今ほどWeb3.0という言葉が一般的ではなかった時代です。「元素騎士オンライン」にもかかわってきましたが、現在は代表を降りて、あたらしくAitamaというAIエージェントプラットフォーム事業を立ち上げています。
──Aitamaを初めて知る人に向けて、まずはどのようなプロジェクトなのか教えてください。公式サイトでは「AIコンパニオン」とありますが、一般的なAIチャットとは何が違うのでしょうか。
Maxi Kuan氏:Aitamaは、AIの卵です。名前も「AI」と「たまご」を組み合わせています。

昔、たまごっちが流行りましたよね。エサをあげて、育てて、毎日触って、だんだん愛着が湧いていく。Aitamaでは、そのコンセプトをAIに持ち込もうとしています。
今はChatGPTを始め、さまざまなAIツールがあります。文章を書いたり、調べものをしたり、タスクを実行したり、AIの進化はものすごく速いです。ただ、僕たちはもう少し人間に寄り添った形のAIがあってもいいのではないかと考えました。
ツールとして使うAIではなく、友達のように日常へ入ってくるAI。それがAitamaの大きなビジョンです。
──AIはすでに便利な道具として使われています。一方でAitamaは、AIをただ使うのではなく「育てる」ことを重視しているように見えます。なぜ、AIに成長体験が必要だと考えたのでしょうか。
Maxi Kuan氏:多くのAIは毎回のやり取りがその場限りになりやすく、文脈が積み上がっていく感覚が弱いと思っています。ユーザーからするとAIを育てているとか、自分仕様になっているとか、自分だけの存在になっているという感覚を持ちにくいんです。
ほかのAIが提供しているのは、AIとの対話かもしれません。でも、僕たちが提供したいのはAIの成長体験です。ユーザーが時間を費やすほど、AIがよりパーソナルになっていく。会話や育成が積み上がるほど、そのAIは代替されにくい存在になっていくと思っています。
だからAitamaでは記憶と感情を起点にしたAIエージェントに、実用性とゲーミフィケーションを組み合わせることを考えています。