ChatGPTの登場によりAIが生活に溶け込みつつある。一方、ブロックチェーンも成熟度が増し活用事例が増えてきた。では、次世代技術である両者を掛け合わせたらどのようなことが実現できるのだろうか?
今回、Microsoft本社でAIエンジニアとして活躍し、ブロックチェーン領域で起業したセバスチャン氏に両領域の課題や展望、そして「AI×ブロックチェーン」の可能性について話をうかがった。
——現在に至るまでの経歴を教えてください。
セバスチャン:大学でAIを学び、卒業してからMicrosoftのAIチームに入りました。その後、2017年頃にブロックチェーンが流行り始め、そこで何が行われているのだろうと興味を抱いたのが現在に至るまでのきっかけです。
ブロックチェーンは以前と状況を比べると非常に成熟した分野になってきたと感じています。今では暗号についての論文も書かれ研究が行われるなど、成熟度が増してきています。
私は学生の頃、数論を学んでいました。その延長線で暗号領域にも興味があったので、それで少しずつブロックチェーン領域に足を踏み入れていった形です。結果的に2017年にブロックチェーン関連の会社に転職して、その兼ね合いで日本に来ました。
私は当時、ブロックチェーンの根本的なインフラに関する業務に携わっていました。ブロックチェーンに関する先端技術の論文などを読んで実際に開発したり、あたらしいソリューションを設計したりしていましたね。
そもそも、当時はブロックチェーンに限らずさまざまなスタートアップがありましたが、立ち上がってはすぐに潰れてしまうという状況でした。ですので、スタートアップに入っても意味がないなんて考えていた時期もあります。
しかし、実際にブロックチェーン領域に入ってみるとイメージが変わりました。当時のスタートアップとは違い、しっかりと研究や開発をしていたんですね。仮に失敗したとしても、その成果は論文として残せる。そのため、参加する価値があるんじゃないかと感じました。