世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)が上場申請しているビットコイン現物ETF「I Shares Bitcoin Trust」が、DTCC(デポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング・コーポレーション)のリストに掲載された。
ナスダックによると、DTCCは預託信託・清算会社であり、取引後の清算、決済、保管、情報サービスを提供しているという。DTCCはブラックロックのビットコイン現物ETFをティッカー「IBTC」としてリストに掲載している。リストに掲載されたETFはまもなく上場するといわれている。
これを受け、ビットコイン(BTC)は昨年5月以来となる年初来高値35,000ドル(約523万円)を突破するなど急騰。イーサリアム(ETH)を始めとしたアルトコインも軒並み大幅な上昇をみせており、全面高となっている。
ブルームバーグのETFシニアアナリストであるエリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏は23日、「(IBTCは)毎日数兆ドルの証券取引を処理する金融市場のインフラであるDTCCに掲載された初のビットコイン現物ETFとなる」と述べた。
DTCCの子会社であるNSCC(ナショナル・セキュリティーズ・クリアリング・コーポレーション)はETFの清算を行う。そのなかには「ETFのポートフォリオ構成銘柄をレビューするサービス機能」がある。これはETF株の創設と償還、その後の決済を自動化する際に使用されるという。
DTCCのリストにIBTCが掲載されたのは、ブラックロックが18日にビットコイン現物ETFの申請を修正した直後だ。
世界3位の法律事務所Davis Polk & Wardwell所属のアソシエイト、スコット・ジョンソン(Scott Johnsson)氏は、最もあたらしいS-1申請書に「IBTCのCUSIPが記載されていた」と指摘した。CUISIPとは米国とカナダで発行される有価証券に付されている9桁の証券識別コードのことだ。
また、バルチュナス氏は「ブラックロックは発売直前に起こり得るロジスティクス(シーディング、ティッカー、DTCC)を主導している。これはビットコイン現物ETFの承認が確実であることを示す。あるいは承認間近であるというシグナルを彼らが得ていることを意味する」とX(旧Twitter)でツイートした。ブラックロックが修正する前に、ほかの企業もビットコイン現物ETFの申請書を修正している。
アーク(ARK Invens)と21シェアーズ(21Shares)は11日、ビットコイン現物ETFの申請書を更新している。ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストは、信託の資産が企業やほかの顧客の資産と混合されないことを明確にするなど、さまざまな追加事項が加えられていることを指摘していた。
アークのCEOであるキャシー・ウッド(Cathie Wood)氏は先週、CNBCのインタビューに対し「今回の修正は、SEC(米証券取引委員会)との話し合いに基づくものである」と語っていた。
先週、ビットコイン現物ETFが承認されたという誤報が流れたが、その瞬間が刻一刻と迫っていることが明らかになった。ビットコイン現物ETFの承認及び上場により、暗号資産市場がさらに活況となることも予想される。
参考:DTCC
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