イーサリアムは13日、7時27分頃にエポック番号194,048にて、大型アップグレード「シャンハイ(Shanghai)」を実行した。これにより、ステーキングされたETHをビーコンチェーンより出金することが可能になった。
シャンハイはコンセンサスアルゴリズムをPoS(Proof of Stake)へと変更した昨年9月の大型アップグレード「マージ(The Merge)」に続くものだ。
アップグレードは、実行レイヤーの変更を行うシャンハイと、コンセンサスレイヤーの変更を行う「カペラ(Capella)」という2段構成になっていることから、2つの名前を合わせて「シャペラ(Shapella)」とも呼ばれている。
シャペラにおける最大の変更点は、ステーキングとして預け入れていたETHをバリデータが引き出せるようになったことだ。そのため、PoSネットワークへの移行完了を象徴する大きなマイルストーンであるともいえる。
ロックされていたETHの数量は約1,810万ETH(約4兆5,300億円相当)。イーサリアムブロックのエクスプローラーであるbeaconchai.inによれば、記事執筆時点でステーキングされているETHの数量は約1,800万ETHとなっていることから、アップグレード後に10万ETH(約255億円相当)が出金されたことがわかる。
長期間ステーキングされていたETHのロックが解除されることで、アップグレード後は売り圧が高まることも想定されていた。
しかし記事執筆時点では前日比約2%高となる1,900ドル(約25万3,000円)ほどで推移するなど、大きな価格変動は確認されていない。
ステーキングされたETHの平均取得単価は約2,000ドルを超えるとされていることから、大きな売り圧力が生じなかった可能性も考えられる。
なお、今回のアップグレードではイーサリアムのガス代引き下げ等に関する下記の改良も行われた。
- EIP-3651: ウォームコインベース
- EIP-3855: PUSH0 命令
- EIP-3860: 境界とメーター初期コード
- EIP-4895: ビーコンチェーンプッシュ引き出しの実装
- EIP-6049: SELFDESTRUCT の非推奨
参考:イーサリアム財団、beaconchai.in、Etherscan
画像:Shutterstock