FSC(韓国金融サービス委員会)は韓国政府が26日に開催した閣議で暗号資産(仮想通貨)利用者の保護に関する法律施行令に関するあらたな立法法案を可決したことを発表した。7月19日に施行される。
この法律は、昨年7月18日に制定された。目的として暗号資産を定義し、暗号資産の範囲から除外されるものを規定している。
VASP(暗号資産サービスプロバイダー)にユーザーの預金と暗号資産を安全に保管、管理することを義務付けた。また、重要な非公開情報の使用や市場価格操作などの不正行為に罰則や制裁を課すことを確立した。
暗号資産については、電子的に取引されるまたは譲渡できる経済的価値ある電子トークンと定義した。ゲームマネー、電子マネー、電子株、CBDC(中央銀行デジタル通貨)など別の法律で規制するものとした。
ユーザーに害を及ぼさないとみなされた電子トークンについては暗号資産の範囲から除外される。電子債券、モバイルギフト券、CBDCにリンクされた預金トークン、NFTも除外される。
FSCは暗号資産に関する政策や規制について協議するため、暗号資産に関する諮問委員会を設置する。委員会は各関係省庁、民間セクターの専門家で構成され、FSC副委員長が委員長を務める。
今回の法律でVASPは顧客の資産を銀行など信用できる金融機関で保管・管理することが義務付けられた。VASPと金融機関は顧客の預金と自社資金を別に保管する必要がある。
VASPが倒産した場合や事業者登録が取り消しになった場合、保管する金融機関が日刊紙やWebサイトで返還日時と場所を公表した上で、預託金を顧客に返還する。
さらにVASPは顧客の暗号資産の80%以上をコールドウォレットに保管することが義務付けられた。ハッキング、不正行為、事業閉鎖、そのほかの警戒すべき理由がある特別なケースでは、FSCは特定のVASPに特定のコールドウォレット比率を課す場合もある。
キムチプレミアムの撤廃化へ
VASPは疑わしい取引、異常な取引がないか監視する必要がある。特に、暗号資産の価格や取引量が異常に変動している場合、価格の動向に影響を与える噂や報告がある場合に重点を置くものとする。
韓国ではキムチプレミアムを狙う取引が活発する傾向があるが、これも異常取引として認識され禁止されることになる。キムチプレミアムについては、暗号資産市場に不正をもたらす可能性や、韓国の外為法に違反するとして規制当局から問題視されている。
法律では、暗号資産の不正取引を行った者に厳しい刑事罰、課徴金が課せられることになった。不正に得た利益の額が5億ウォン(約5,780万円)から50億ウォン(約5億7,800万円)の場合、3年の懲役刑が科せられる。
また、50億ウォンを超えると最低5年の懲役刑、さらに不当に得た利益の2倍の課徴金が科せられる。不当に得た利益を算定できない場合は最大で40億ウォン(約4億6,200万円)の課徴金を支払う必要が生じる。
VASPは利用者が犯罪収益のために暗号資産を利用していることが判明した場合、顧客の入出金を停止することができるようになった。脱税、地下銀行、犯罪収益のマネーロンダリングを阻止することをVASP自体ができるようになった。
参考:発表
画像:Shutterstock
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