【NEWS】米ペイパル発行のステーブルコイン・PYUSDが苦戦 保有者も限定的に

2024/08/09 09:13 (2025/02/05 12:41 更新)
Iolite 編集部
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【NEWS】米ペイパル発行のステーブルコイン・PYUSDが苦戦 保有者も限定的に

PayPal USDが苦戦

米決済大手ペイパル(PayPal)が発行した米ドル連動ステーブルコイン・PayPal USD(PYUSD)が苦戦を強いられている。

DeFiを中心としたオンチェーンデータを収集するDeFiLlamaによると、現在発行されているPayPal USDが3,780万枚であるのに対し、流通しているのは450万枚に留まっている。

一方、ブロックチェーン分析を行うNansenによると、現在PayPal USDはPax Dollar(USDP)等を手がける米パクソス(Paxos)が全体の約90%を保有しているという。そのため、PayPal USDのほとんどがパクソスに滞留していることとなる。PayPal USDは米パクソス(Paxos)を通じて発行されている。

また、リリースに合わせて複数の暗号資産(仮想通貨)取引所がPayPal USDの取り扱いを開始したものの、依然として広がりに欠ける状況が続く。Nansenによれば、暗号資産取引所による保有は供給量の7%ほどに留まっているようだ。

保有上位の暗号資産取引所としては、クラーケン(Kraken)やゲートアイオー(Gate.io)、クリプトドットコム(Crypto.com)が名を連ねている。Etherscanのデータ上でも、PayPal USDの保有者数は現時点で292名となっている。

普及が進まない背景には、イーサリアムブロックチェーン上で発行されたことに伴う手数料(ガス代)の高騰化も要因の1つとしてあげられる。イーサリアムの需要が高まり、ネットワークが混雑するとPayPal USDの送受信に伴う手数料も高騰化する。

現在、ポリゴン(MATIC)等の手数料を安価に抑えられるブロックチェーン上でのステーブルコイン発行も進んでいることから、既存の暗号資産ユーザーがPayPal USDを保有するメリットは低い。また、ペイパルユーザーにおいても現状PayPal USDを利用する大きなメリットがない点も留意すべきだろう。

リリースから3週間程度ではあるものの、ペイパルは今後戦略を練り直すこととなり、引き続き動向には注目が集まる。

ステーブルコインでは、現在テザー(USDT)及びUSDコイン(USDC)があわせて8割強のシェアを誇っている。なかでも、USDコインは先日、体制変更に伴い今後は米サークル(Circle)が単独で発行や運営を行うこととなった。運営の効率化を計り、さらなるシェア獲得を狙う。

USDコインでは9月から10月にかけて、あらたに6つのブロックチェーンに対応することも発表されていることから、マルチチェーン対応のステーブルコインとしてさらなる普及に期待がかかる。

参考:DeFiLlamaEtherscan
画像:Shutterstock

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