ロビンフッド(Robinhood)は数ヵ月以内に米国と欧州で暗号資産(仮想通貨)先物取引の提供を検討していることがわかった。ブルームバーグが事情に詳しい関係者の話として報じた。
ロビンフッドはハワイ、プエルトリコ、米国領バージン諸島でサービスを開始し、同時に米国と欧州の両方で暗号資産先物取引を提供することを検討している。
ハワイへの進出は、同州商務省による規制変更を受けて行われた。同州では、暗号資産サービスを運営するために送金業者のライセンスを取得する必要がなくなった。このため、ロビンフッドはこれまで厳しい金融規制で知られていた暗号資産市場に参入する道が開かれた格好だ。
これにより、ロビンフッド・クリプトはニューヨークを除く、米国のすべての州で利用が可能となった。ただし、米国のさまざまな行政区域でライセンスを所得するプロセスは長く、過去6年間にわたっている。
暗号資産サービス提供を拡大へ
手数料無料の株式、暗号資産取引アプリのロビンフッドは、6月に暗号資産取引所ビットスタンプ(Bitstamp)を2億ドル(約322億円)で買収することに合意した。来年前半には買収が完了する予定である。
ロビンフッドの暗号資産事業は急成長している。しかし米国では規制上のハードルにも直面している。
ロビンフッド・クリプトは5月の第1四半期の収益の大幅な上昇の原動力となった。同州には、同社のプラットフォームで取引されたトークンに関して、SEC(米証券取引委員会)からウェルズ通知を受け取ったことを明らかにした。
またロビンフッドは欧州での暗号資産サービスに注力を増しており、約2ヵ月前に暗号資産ステーキングサービスを開始した。
現在はソラナ(SOL)のみ対応しているが、将来的には暗号資産を次々と導入する予定である。
計画が実現すれば、ロビンフッドはビットスタンプの持つライセンスを活用して、欧州でビットコインやそのほかの暗号資産の永久先物を提供する可能性がある。米国においては、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)ベースのビットコインとイーサリアム先物の開始を検討している。
今のところ、ロビンフッドの代表者は、これらの計画は確定したものではないと注意を促し、「これらのサービスを開始する差し迫った計画はない」とブルームバーグに述べた。
暗号資産デリバティブへの潜在的な動きは、こうした商品の世界市場が活性化している時期に起きた。
暗号資産研究会社CCDataの最新データによると、5月のデリバティブ取引量は3兆6,900億ドル(約594兆900 億円)に達し、中央集権型取引所の現物取引の1兆5,800億ドル(約254兆3,800億円)を上回った。
SECからウェルズ通知を受けたが、ロビンフッドは今年初めに暗号資産市場への野望は揺るがない。ビットスタンプの買収や、最近マレックス(Marex Group)から先物ブローカーのライセンスを所得したりと、暗号資産戦略を拡大している。
参考:ブルームバーグ報道
画像:Shutterstock
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