SEC(米証券取引委員会)は15日、ハッシュデックス(Hashdex)によるビットコイン先物ETFをビットコイン現物ETFに転換する申請に対する審査を延長すると発表した。あわせて、グレースケール(Grayscale)が申請しているイーサリアム先物ETFをイーサリアム現物ETFに転換する申請に対する審査についても延期する。いずれも次の審査期限は2024年1月1日とした。
SECはビットコイン先物ETFとイーサリアムETFを現物ETFに転換する判断について、「決定するまでまだ時間が必要である」との姿勢をみせた。
ハッシュデックスは、ニューヨーク証券取引所に上場している上場投資信託「ハッシュデックス・ビットコイン先物ETF」の現物ETF転換について今年10月に申請。SECは15日、申請の審査決定についてさらに45日必要であるとした。
既存のビットコイン先物ETFを現物ETFに転換するというハッシュデックスの申請は、ファンドマネージャーが市場操作のリスクを回避するために「ビットコイン先物契約、現物ビットコイン、現金」を組み合わせて保有することを提案しているため独自的であるという。
資産運用大手のブラックロック(BlackRock)やフィデリティ(Fidelity)など大手もビットコイン現物ETFのローンチに向けSECに認可を求めている。ビットコイン現物ETFが承認を得るという見通しは、暗号資産市場の回復に一役担っている。
SECはグレースケールが更新した申請書類が前回とほぼ同じ内容であることを指摘。その上で、グレースケールのイーサリアム現物ETFの規定を変更すべきだとした。規定を変更すれば承認する可能性があると含みを持たせた形だ。
SECはビットコイン現物ETFの申請者でどの企業を承認するかどうか明らかにしていない。どの申請も審査決定について延期している。
承認を拒み続けるSEC
SECは今まで一般投資家向けに現物ETFを上場することを拒み続けてきた。十数社が今年、ビットコイン現物ETFのローンチを申請しているがいずれも判断を延期し続けている。理由として、ビットコインが市場操作を受けやすいことや監視共有協定などの欠如に対する懸念をあげている。
申請企業らは現在、2021年のビットコイン先物ETF承認の後、これらの懸念は解消されたと主張している。さらに今年、控訴裁判所も同様の判決を下した。
それでも、SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は先月、ビットコイン現物ETFについて言及し、「専門のスタッフが現在精査を進めている」と明かしている。
参考:ブルームバーグ
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