台湾第2位の通信会社、台湾モバイルは金融監督委員会(FSC)から暗号資産サービスプロバイダー(VASP)のライセンスを所得した。今後、子会社のFusheng Digitalを通じて暗号資産取引所を設立し、デジタル資産市場に参入する。
FSCの公式サイトではFusheng Digitalの名が暗号資産プラットフォーム事業者一覧に掲載されている。これはすでに同社が暗号資産取引所の設立、運営が可能になっていることを意味している。
台湾モバイルは厳格なマネーロンダリング防止(AML)を含む規制要件を乗り越えた。VASPライセンス所得という結果は、台湾モバイルが暗号資産市場に参入するという新しい道を切り開く、台湾においてVASPライセンスを保有する26番目の企業となる。
台湾における大手通信社だけに、Mai Coin、BitoPro、XREXなど既存のプロバイダーに追いつくことも時間の問題と見られている。
ブルームバーグは以前、台湾モバイルが台湾のデジタル資産市場に進出するために投資を検討していると報じており、暗号資産取引所の設立に向けた動きがある可能性を示唆していた。
台湾モバイルは1,000万人の顧客を抱えている。今後は台湾の個人投資家が暗号資産市場に投資を行う可能性がある。
台湾の暗号資産規制環境は急速に進化している。2021年、FSCは暗号資産サービスプロバイダーを対象とした厳格なマネーロンダリング防止規制を開始した。
これらの規制は、台湾で運営されている未登録のビットコイン取引所の禁止を含む包括的なガイドラインが2023年9月に発表され、さらに強化された。
規制枠組みの発展により、BitoProの創設者兼CEO、Titan Cheng氏が議長を務める台湾暗号資産サービスプロバイダー(VASP)協会が設立された。
当協会は、業界内の詐欺や犯罪行為を軽減するため、政府機関や法執行機関と協力し、独自の自主規制を設けるなど暗号資産業界に尽力している。
暗号資産に優しい法整備を実施する台湾
台湾の法務省はマネーロンダリング防止法を改正し、その対象範囲をデジタル資産プロバイダーにまで拡大するという提案をした。提案された改正案では、違反した暗号資産企業は最高150万ドル(約2億4,100万円)または懲役刑に処せられることになる。
台湾モバイルの暗号資産市場への参入は、暗号資産のための透明かつ公平なシステムを確立するという同国の取り組みと一致している。
台湾モバイルの参入の動向と新たない結成された業界団体の相乗効果は、消費者保護における国際的なベストプラクティスに沿って、暗号資産に優しい環境を育むという台湾の献身的な姿勢を示している。
台湾モバイルは、地元の暗号資産プラットフォームとの協力関係を模索し、業界内での投資をも検討している。
参考:FSC発表、ブルームバーグ
画像:Shutterstock
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