米ニューヨーク州南部地方裁判所のアナリサ・トーレス(Analisa Torres)判事は13日、米リップル社が発行する暗号資産(仮想通貨)XRPの有価証券問題を巡り米SEC(証券取引委員会)が訴訟した裁判で、初の判決を下した。
今回の判決では、XRPが一般投資家に販売される場合は「有価証券には該当しない」と判断した。
なお、機関投資家に販売される場合には「無登録であり違法な証券販売にあたる」としている。具体的には、専門的な知識を持つ投資家はリップル社によりXRPを通じて利益が見込める投機的価値を理解していたはずだと指摘した。
一方、暗号資産取引所で売買を行う一般投資家はこうした投機的な価値を認識できる環境下になく、第三者からリターンを得ることに対し期待しているかを判断する「ハウィー・テスト」の要件に当てはまらないと述べている。
こうした一般投資家がXRPの資料を分析したと裏付ける証拠はなく、SECが指摘する有価証券性を示す資料は、少なくとも広く共有されたものとはいえないと続けた。
このような状況から、XRPは個人向けの証券に該当しないと判断。あわせて、デジタル・トークンとしてのXRPは「それ自体が投資契約のハウィー・テスト要件を具現化する契約・取引・スキームではない」と結論付けられた。
SECは2020年12月にXRPが有価証券であるとして、リップル社及び同社のブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)CEOらを提訴している。
これに対しリップル社は全面的に争う姿勢を示し、暗号資産の法的定義等について言及したSECの元法人金融部長であるウィリアム・ヒンマン(William Hinman)氏のスピーチ資料の公開等を求めてきた。
今回の判決を受け、XRP価格は大きく上昇。一時前日比約100%の上昇率をみせ、0.87ドル(約120円)ほどまで価格を伸ばした。
リップル社のガーリングハウスCEOは自身のTwitterで、「今日の判決に至るまでに協力してくれたすべての人に感謝する」とコメント。その上で、「この結果は米国におけるすべての暗号資産関連のイノベーションに影響をもたらす」と語った。
業界の内外から注目を集めていた本訴訟の判決が出たことで、同様にほかの暗号資産関連の裁判にも今後なんらかの影響を及ぼす可能性がある。
また、判決を受けてSECの担当者は、「機関投資家など特定の条件下で販売されたXRPが投資契約に該当するとの判断は正しいものであり、この判決を嬉しく思う」と述べ、今後一部敗訴した主張について控訴する可能性を示唆した。
参考:裁判資料、ガーリングハウス氏Twitter
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