ニュージーランドの中央銀行にあたるニュージーランド準備銀行(RBNZ:Reserve Bank of New Zealand)が、CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する2度目の協議を開始した。
ニュージーランドは2021年に初めて調査をして以来、CBDCをどのように位置付けし、設計する計画を建てるのかを探ることに多大な時間と労力を費やしてきた。
協議は7月26日まで行われる。フィードバックとビジネスケースの準備に基づき、ステージ3の準備段階に進むという。
ニュージーランドで協議されているCBDCはリセール型となり、ホールセール型については現時点で検討していないという。これは国際決済を優先事項に含めていないからだ。
RBNZは機能面とコントロールという2点において、CBDCをどのように位置付けするのか慎重に検討してきた。その上で、イノベーションの実現国として英国とスウェーデンのモデルを選択すると結論付けたとしている。こうした状況から、民間企業を通じて国民がCBDCを利用することができるものになるという。
CBDCに対して前向きも慎重姿勢
CBDCに対するRBNZのアプローチは前向きではあるが、それでもなお慎重な姿勢を崩さない。報告書によると、国際的なCBDCの状況を検討し、「この10年間は本格的な発行と幅広いユーザーの採用はありそうにない」と述べている。
また、CBDCの発行には多大な労力、コスト、複雑さが伴うことから、これまでの取り組みに基づき、消費者の採用は慎重になるだろうと考えているようだ。したがって、RBZNはCBDCについて長期的ビジョンとして捉えている。
さらに、CBDCを発行する意義の1つとして、法定通貨であるニュージーランドドルの使用頻度が減少していることをあげている。こうした動きが進行すると、通貨主権が脅かされる可能性があるとの懸念を示している。加えて、現金の使用頻度が低下すると現金に依存する国民の金融包摂も脅かされる恐れがあるとした。
RBNZの調査によれば、消費者の約60%が今でも定期的に現金を使用していると回答している。さらに98%以上が銀行口座を持っているという。
経済活動のデジタル化も現金の使用頻度の低下に拍車をかけている。RBNZはこうした状況も踏まえ、CBDCの提供を模索しているようだ
参考:資料
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