来年1月から始まる新NISAは、日本人の投資需要を喚起するだろう。
これを後押しするかのように、近年は大手企業による株式分割が目立ち、増配に踏み切る企業も。SBI証券と楽天証券は日本株の売買手数料無料化に踏み切った。
ある程度まとまった資金のある投資家にとって新NISAを使った個別株投資は加速するに違いない。片や元手はたくさんなくても、毎月の給与の一部を投信積立に回すなど、積立投資を始める人も増えるだろう。
2024年の投資環境は決して悪くない?

投信積立の需要に応える形で、新NISAの成長投資枠(現行の一般NISA に該当)対象の投資信託は、今年8月時点で約1,400本、最終的には2,000本のラインナップに拡充するという。
物価高や増税など、庶民を取り巻く環境は極めて厳しい。日々の生活に苦労しているからこそ、資産形成にはシビアにならざるを得ない。一定額の預貯金はキープしつつも、余剰資金を投資に回す層は確実に増えると考えられる。
若年層を中心に投資意欲は高まっていて、新NISAはそれに拍車をかけていくだろう。そう考えると、2024年の投資環境は決して悪くないのかもしれない。
劣後債とは?

投資先として国債や社債を選ぶ方もいるだろう。現在はその利回りの高さから、米国債を始めとする外国債の人気が高い。証券会社で直接購入したり、米国債に投資する投資信託を通じて取引する日本人投資家もいるほどだ。
こうした債券は国や地方公共団体、企業などが資金調達を目的に実施するが、その種類もいくつかある。そのひとつが「劣後債」だ。これは普通社債に比べると元本・利息の支払いの順位が低い社債を指す。発行体が破綻した場合、普通社債の保有者(一般債権者)への債務弁済が終わると、残余財産が劣後債保有者に回される。社債でありながら株式に近い性質を持っているのが特徴だ。
一方、弁済が後回しにされる分、利回りは相対的に高めに設定されている。なお、金融機関が発行する劣後債は、制限付きではあるものの自己資本への参入が認められていて、金融機関が自己資本を高める手段として発行する事例がある。