──現状のWeb3.0領域をどのように捉えていますか?
山田耕三(以下、山田):近年、Web3.0領域では、DePINと呼ばれるブロックチェーンプロジェクトが注目されており、私自身も特に関心を持っています。
DePINは、物理的インフラを分散型ネットワークで運営するあたらしいアプローチで、従来の方法では困難だったあたらしいプロダクトの開発が可能となり、特にインフラ整備が遅れている地域や新興市場において大きな可能性を秘めています。
DePINの魅力は、中央集権型の運営に比べてコストを抑え、効率的なインフラ整備が可能な点です。また、ユーザーや地域コミュニティが直接参加し、インフラの維持や管理に関与することで、持続可能な運営が実現します。さらに、ブロックチェーンの透明性により、不正や不備が減少することも期待できます。これにより、DePINは暗号資産に興味がなかった人々にもわかりやすいサービス提供が可能です。
少子高齢化と人口減少が進む日本では、行政だけで全国のインフラを維持・管理するのが難しくなっています。トークンを報酬として、個人のコミュニティへの参加を促し、インフラの維持や管理につなげるDePINは、今後ますます活用が期待されると考えています。
単なる遊びではなく社会貢献と報酬が結びつくあたらしいゲームを提供
──自社のプロジェクト・サービスを通してどのような魅力を届けて、どのようなことを成し遂げたいと考えていますか?
山田:現在、弊社が東電PG社、GGG社と共同運営している、電力インフラとWeb3.0を融合させた参加型社会貢献ゲーム「PicTrée(ピクトレ)」は、インフラ管理と地域活性化を同時に実現する日本発のDePINプロジェクトです。4~6月に前橋市で行った実証試験では、多くのユーザーがインフラ設備の写真を投稿し、電柱への樹木近接やカラスの営巣などの早期発見につながりました。また、7月26日から東京都の対象3区で実証試験の第2弾を開始しています。
このプロジェクトの背景には、「持続可能な街づくり」があります。地域のインフラ設備を維持するためには、点検・管理が不可欠ですが、労働人口の減少が進む日本社会では、小まめな点検が難しくなり、インフラの維持が課題となっています。ピクトレ参加者が撮影した写真を行政と東電が活用することで、電力アセットの点検・管理がスムーズになり、業務効率化とコスト削減が実現します。
これまで一般市民にとっては邪魔モノ扱いされていたインフラが注目され、まちづくりに積極的に関わるきっかけになっていると感じています。
現在は電力アセットを対象としていますが、今後は日本各地でそのほかのインフラへと拡大し、日本のインフラ老朽化問題に対する解決策として発展させる予定です。このプロジェクトを通して、単なる遊びではない、社会貢献と報酬が結びつくあたらしい形としてのゲームを広めていきたいと考えています。
今後の展望▶︎
社会貢献と報酬が結びつくあらたな形を提供
インフラ管理と地域活性化を同時に実現へ
Profile
◉山田耕三 Kozo Yamada
Digital Entertainment Asset Pte.Ltd.Founder&Co-CEO
1977年生まれ。東京大学法学部卒業後、2002年にテレビ東京入社。制作局にて音楽・バラエティ番組を中心に番組制作を担当。デジタルメディアとの連動企画を得意とする。2018年に独立し、エンターテインメント全般のプロデュースを手がける。2018年よりシンガポールにて、DEA社創業。NFTゲームプラットフォーム事業PlayMiningを運営。2022年1月、Play to Earnトークン「DE APcoin(DEP)」を日本初上場に導く。NFTゲームの専門家としてnoteなどで発信。