──現状のWeb3.0領域をどのように捉えていますか?
岡部 典孝(以下、岡部):Web3.0領域は、ブロックチェーン技術を基盤としたあたらしいインターネットの形を目指していますが、この領域では特にステーブルコインが重要な役割を果たしていくと考えています。国が存在する以上、各国の法定通貨には物やサービスを交換する上でのものさしとして一定の重要性があり、そういった意味でステーブルコインはこのWeb3.0領域でも多く利用され、ユースケースを拡大していくものと考えています。
日本では世界に先立ってステーブルコインに対する規制が定められました。今後、さまざまなデジタルアセットに交換できるようになり、Web3.0領域のインフラとして、またリアルな世界への橋渡しの役割としてもステーブルコインは重要なポジションとなっていく可能性が高いと感じています。
そのほかにもWeb3.0領域はビジネスモデルを多く創出する機会を生むと考えています。
dAppsを始めとする分散技術がもたらすサービスは今でこそそこまで普及していませんが、活用方法はアイデア次第で無限に考えられる物であり、ブロックチェーン上での高いセキュリティや透明性、スマートコントラクトによる自動化、トークンエコノミーを活用した資金調達やクラウドファンディング、分散型組織であるDAO……などの特徴を活かして、、将来的にはさまざまなビジネスモデルが生まれてくると考えています。
そのため、法規制など課題が残る分野である一方、将来的には面白いサービスが生まれるようなポテンシャルを秘めた領域がWeb3.0であると感じています。
ステーブルコインで「社会のジレンマを突破」
──自社のプロジェクト・サービスを通してどのような魅力を届けて、どのようなことを成し遂げたいと考えていますか?
岡部:私たちJPYC株式会社は3年前の2021年3月に、国内でのステーブルコインの普及を目指し、日本円と連動したステーブルコイン「JPYC」の発行・運営をスタートしました。以来、自社のステーブルコインの発行・運営だけでなく、ほかのステーブルコインやユースケースの未来を見据えたパートナーシップ、そのほかにも法規制への提言や政府与党や国内外の業界団体からのヒヤリング対応、AML対策にも幅広く取り組んできました。
日本円ステーブルコイン「JPYC」では、送金スピードや手数料の安さを活かすだけでなく、これまで実現ができなかったような金融サービスの展開ができると考えています。
JPYC社のミッションである「社会のジレンマを突破する」にもあるように、これまであった金融サービスをよりシームレスに便利に、安く、安全に提供できるように尽力していきたいと考えています。また、あたらしい金融におけるユースケースを広げ、社会のジレンマをも突破できるようなWeb3.0事業を今後もがんばっていきたいと思っています。
今後の展望▶︎
Web3.0はポテンシャルを秘めた領域
金融サービスをシームレスかつ安心安全にしていく
Profile
◉岡部典孝 Noritaka Okabe
JPYC株式会社 代表取締役
日本を代表するステーブルコイン企業JPYC株式会社の代表取締役。CTOやCFOの経験を活かした、技術やファイナンス、イノベーション法務の境界領域が得意。「社会のジレンマを突破する」というミッションのもと、日本円ステーブルコインJPYCでWeb3と現実世界をシームレスにつなぎ、安全かつ自由な経済活動を推進できる社会実現を目指している。