Web3.0メタバース

仮想空間と現実世界に生きるアーティストはその瞳に何をみる ─ せきぐちあいみ スペシャルインタビュー

2024/09/17Iolite 編集部
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仮想空間と現実世界に生きるアーティストはその瞳に何をみる ─ せきぐちあいみ スペシャルインタビュー

VRは単なるエンターテイメントではなく、あたらしい体験や視点を提供する手段

──改めて現在どのようなご活動をされているのか教えてください。

せきぐちあいみ(以下、せきぐち):2016年からVRの空間のなかに、360度に広がる3Dの絵を描くアーティストとして、アート制作やライブペイントのパフォーマンスをしています。VR空間がキャンパスになるので、絵を描くというよりも、別の世界をデジタル上に造っていくようなイメージです。

──VRからXRの領域まで活動の幅を広げられているとうかがいました。XRとVRの大きな違いとは?

せきぐち:いわゆるメタバースと呼ばれるような領域のなかには、AR(Augmented Reality)・VR(Virtual Reality)・MR(Mixed Reality)と色々とあるのですが、ARはたとえばポケモンGOのようにユーザーはスマートフォンを通じて、現実世界のなかにポケモンがあらわれるようにみせることができる技術です。

MRは複合現実といったりして、より互換性が高く、現実とバーチャルが混在する技術で、現実のなかにバーチャルな要素を組み込むことが可能です。

そしてこれらの技術を総称したのが、XR(Extended Reality)と呼ばれています。私は老若男女さまざまな人に理解してもらいやすいように、VRアーティストと名乗ることが多いですかね。

少しややこしい例があって、Apple Vision Proの技術は「空間コンピューティング(Spatial Computing)」という呼び方をして、VRやARとは異なるあたらしいカテゴリーとして提案されているところです。私がApple Vision Proを使てアートを制作する時にはSpatial Artistですかね(笑)。

──昨年の弊誌のインタビューにはVRを知ったきっかけとして、とあるメディアの取材を通してVRを体験したのがきっかけと語っていただきました。今のせきぐちさんにとってのVRひいてはメタバースとは?

せきぐち:最初は取材を通じてVRを体験し、その楽しさと可能性に驚かされました。VRは単なるエンターテインメントではなく、人々にあたらしい体験や視点を提供する手段だということを知れば知るほど理解していきました。

クリエイターにとってもすばらしいものですし、たとえば別の人格になる機会を与えるツールとして、対人恐怖症の方がVRのなかでは自由に活動できるようになったり、高齢者が活動の範囲を広げ、世界とつながる手段としても活用されたりしています。

VR蕎麦屋タナベさんは、お蕎麦屋さんをする傍らVRを知り、それを活用して制作をされていて、VRで出会ったカナダ人の女性と国際結婚をし、今ではVRの仕事をしています。このように、VRやメタバースは人々の人生を豊かにし、あたらしいつながりを生み出すことができます。

ほかにも、ALSの方とも一緒に毎年イベントを行っています。その方は視線でVJを操作し、私とコラボしてライブペイントを行います。視線のみでの洋服のデザインや作曲など、身体的制約を超えて創造的な活動をしています。エンタメの力を使ってこのような技術の浸透を加速できたらなと思っています。

教育や医療、ビジネスなどさまざまな分野で活用されています。たとえば、難民の子供たちが同じ教育を受けることができるようになったり、遠隔地にいる医師が患者を診察することができるようになったりしています。

メタバースは人類のために活用できる領域が現時点でも多岐に渡るので、社会全体がより平等で公正なものになる一助として活用されていくことが期待されています。

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