──現状のWeb3.0領域をどのように捉えていますか?
三瀬修平(以下、三瀬): Web3.0領域という言葉ができたこと自体、2008年10月のサトシナカモトの論文以降、技術の発展や世間の認知度も含め確実に発展を遂げていることの証明だと思っています。シンプルな価値保存の手段だったビットコインに続き、イーサリアムが生まれたことでトークンやNFTなどを通して同じ価値を共有する人々が独自の経済圏をつくれる基盤が構築されました。
しかし、依然としてマスアダプションには時間がかかると考えております。技術基盤がまだまだ不十分であること、技術をビジネスに適用するための知見が足りていないこと、またそれを支える法律の整備が追いついていないことなどがその原因だと考えています。
キラーコンテンツや独自経済圏を作るだけの熱狂を生み出すサービスを作ること、さらにそれをサポートする法整備、また良いプロジェクトを見極めるユーザーの目を肥やしていくことが必要であるため、まだ時間がかかるものと考えています。
AIも活用しアニメ文化の発展と普及に貢献 ──自社のプロジェクト・サービスを通してどのような魅力を届けて、どのようなことを成し遂げたいと考えていますか?
三瀬: Animechain.aiは、AIとブロックチェーン技術を駆使して、アニメ経済圏のさらなる発展を目指しています。現在のアニメ業界では需給バランスが崩れており、需要側と供給側の工夫が求められています。私たちは、ブロックチェーン上でトークン経済圏を構築し、需要側から供給側へ直接資金を供給する仕組みをつくり、供給を効率化するためにAIを活用する仕組みを提供します。
既存のAI技術の使用には著作権侵害や無断学習に対する心理的抵抗が問題となっています。これに対し、Animechain.aiでは著作権者が許可したクリーンなデータのみを使用したAIモデルを開発し、さらにより高品質なキャラクターデザインや背景作成を可能とします。これにより、AI利用への心理的ハードルを下げ、クリエイターがAIの恩恵を享受できる環境づくりを目指しています。
また、クリーンなデータのみの使用を証明するためにブロックチェーンを活用し、データ提供者やモデル制作に貢献した人への還元を行う仕組みを構築しています。あたらしいデジタルアセット「AIRA(AI Rights Ass et)」とANIMAトークンの導入により需要側からの資金流入チャンスを増やすと共に作品制作に使用されたモデルの管理や還元割合を可視化します。
これにより持続的にAIモデルにデータが提供され、AIが進化し続け、クリエイターがより創造的な作業に集中することで、アニメ産業全体の活性化を促進します。Animechain.aiは、技術革新によってアニメ制作の障壁を低減し、世界中のクリエイターが自由に表現できる環境を整えることで、アニメ文化の発展と普及に貢献していきます。
今後の展望 ▶︎ テクノロジーを活用してクリエイターを支援 アニメ産業全体の活性化を促進するhttps://animechain.ai/
Profile ◉三瀬修平(Shuhei Mise)
Animechain Foundation CEO
三菱UFJ銀行、BNPパリバ銀行など金融業界を10年経験し、2018年よりweb3業界へ参入。bitFlyer社のシニアコンサルタントなどを経て2021年にTuringum株式会社の代表に就任。2023年にはブロックチェーンゲームのパブリッシャーであるZeal Nova社やTOKYO BEAST社を創業、複数のweb3会社でアドバイザーを務める。2023年にAnimechain Foundationを立ち上げ、2024年2月にアニメチェーン株式会社を設立し、同社代表を務める。