KDDIは昨年3月、メタバース・Web3サービスとして「αU(アルファユー)」を発表。今後もKDDIによる取り組みが加速していくものとみられるなか、同社のWeb3推進部長である舘林俊平氏に業界の現在地をうかがった。
──現状のWeb3.0領域をどのように捉えていますか?
舘林俊平(以下、舘林): KDDIは2023年3月に、現実と仮想を境目なく行き来するあたらしい世代に寄り添い、誰もがクリエイターになりうる世界に向けたメタバース・Web3サービス「αU」を開始しました。「αU meta verse」などのメタバース関連サービスのほか、ブロックチェーンを活用したweb3サービスとして暗号資産ウォレット「αU wallet」、NFTマーケットプレイス「αU market」を提供しています。
Web3.0への流れとして顕在化している社会的な事象として、「①トークンを活用したスタートアップなどの資金調達」「②ファンダムやクリエイターエコノミーの勃興」「③あらたなIDと経済圏の可能性」の3点を捉えています。これらの変化は、既存事業者として危機感と同時に大きな魅力を感じる部分でもあります。
一方で、お客様からみたこの領域は、未だに「不安」「怖い」「わからない」という状態が続いていると認識しており、その解決は事業者視点での課題と捉えています。また企業の参入促進においてはルール整備も重要であり、官民が連携してグローバルに戦う環境整備することが必要です。
これまでのノウハウを活かし推進する3つの取り組み ──貴社のプロジェクト・サービスを通じてどのような魅力を届けて、どのようなことを成し遂げたいと考えていますか?
舘林: KDDIが目指しているのは、Web3.0らしい新規性を保ちながら、ブロックチェーンや暗号資産に馴染みがない方にもわかりやすいサービスを開発することです。Web3.0サービスにはさまざまな魅力がありますが、従来のインターネットサービスにはない特有の難しさも存在します。
ユースケースとしては、コミュニティが自走できる環境構築が可能になるということが、大きな魅力と捉えています。たとえば、企業・自治体と消費者のあたらしい関わり方の普及や、コミュニティでの経済圏構築、リアルと連動するNFTプロジェクトのあたらしい取り組みを後押ししています。
今後、より多くの方にWeb3.0サービスに触れていただき、あたらしい体験価値を提供していくため、特に「①クリエイターエコノミーの促進」「②暗号資産やトークンの普及の後押し」「③各種企業との連携、参入の支援」を推進します。
KDDIはこれまでに自社で活用してきたシステム・ノウハウを外部に提供し、お客様が安心安全にWeb3.0の世界に触れられる環境を整え、企業のWeb3.0への参入をサポートし、業界全体の発展を後押ししていきます。KDDIはこれらの活動を通じ、今後もWeb3.0の普及と、それを通じたより便利で楽しい社会の実現に取り組んでいきます。
今後の展望 ▶︎ ノウハウを活かしWeb3.0の参入をサポート “便利で楽しい社会”の実現に取り組むhttps://alpha-u.io/
Profile ◉舘林俊平 Shunpei Tatebayashi
KDDI株式会社 Web3推進部長
2006年にKDDI株式会社へ入社し、移動体通信事業のネットワーク設計を担当する。2017年からグループリーダーとして、スポーツ、エンタメ、XR領域での、アライアンスや新規事業を担当。2021年からビジネス開発部副部長としてモビリティ領域でのJV設立などを推進。2022年BI推進部長、2023年4月よりWeb3推進部長。