大企業などが徐々にWeb3.0領域に参入しつつある昨今。国内でも企業に対する暗号資産の税制改正やステーブルコインの活用に向けた動きが加速するなか、ついには米国等で承認・取引されている暗号資産ETFの解禁に向けた機運も高まりつつある。
特に税制改正は“業界の悲願”ともいえる長年の課題であり、今後は個人取引における20%の申告分離課税の導入などに期待がかかる。暗号資産の取引や活用が増加することで、国内におけるWeb3.0の普及が急速に進む可能性も出てくる。
国内のWeb3.0領域を牽引するプロジェクトの1つとしては、日本発のパブリックブロックチェーン・Astar Networkの存在があげられる。ファウンダーである渡辺創太氏を中心に、これまでさまざまな企業とWeb3.0のマスアダプションに向けた取り組みを加速させてきた。
そんなWeb3.0領域のキーマンともいえる渡辺氏は現在のWeb3.0をどのようにみていて、今後の展望をどのように見据えているのだろうか。
──現状のWeb3.0領域をどのように捉えていますか?
渡辺創太(以下、渡辺):現状のWeb3.0は、Web3.0の人たちが欲している、内輪で回るWeb3.0を作っているのであって技術やWeb3.0の思想に興味関心がない一般大衆の方々に刺さるプロダクトになっていないという印象を強く受けます。
Web3.0を現状のインターネットのように多くの人たちに使ってもらうためには、社会での実装とわかりやすい便益が必要です。我々は、StartaleとAstarが次のステージに進むためにソニーグループとの協業を発表しました。Web3.0の技術やポジションと、今までさまざまな大手企業との連携によって培われた知見を最大限活用し、実社会で実際に使われるキラーユースケースを創出していきます。
Web3.0業界の常識を変えていく
──自社のプロジェクト・サービスを通してどのような魅力を届けて、どのようなことを成し遂げたいと考えていますか?
渡辺:Web3.0業界の常識を変え、あたらしいナラティブを提示することによって世界をリードするプロダクトを開発していきたいと思います。
これまでWeb3.0は業界関係者がXやDi scordで朝起きた時にGM(Good Morningの略)と投稿することに代表されるように、アンダーグラウンドなカルチャーでした。あたらしくローンチされる自分たちのプロダクトを通して、GMがGood Morningではなく「Go Mainstream」となるように、Web3.0業界を超えてよりメインストリームの業界や日常生活でWeb3.0が当たり前に使われる世界を実現したいと考えています。
そのために私たちは、ブロックチェーンレイヤーのみでなく、インフラレイヤー、いずれはその上のレイヤーまで垂直統合されたサービスを提供する戦略を掲げています。
今後の展望▶︎
よりメインストリームな業界にWeb3.0を届ける
あらゆるレイヤーに統合されたサービスを展開へ
Profile
◉渡辺創太(Sota Watanabe)
Astar Networkファウンダー/Startale Labs CEO
日本発のパブリックブロックチェーンAstar Networkファウンダー。Startale Labs CEO。Next WebCapital、博報堂key3ファウンダー。日本ブロックチェーン協会理事や丸井グループ、GMO Web3、電通web3Clubなどのアドバイザーを務める。2022年、Forbes誌の選出するテクノロジー部門アジアの30歳以下の30人に選出