──現状のWeb3.0領域をどのように捉えていますか?
Danny:Web3.0の現状は、2022-2023年のベアマーケットを経て、最近では主要コインの値動きからも市場が回復傾向にあると見受けられ、それに伴い市場への関心も高まっています。同時に、世界各国で法規制やコンプライアンスの整備が進んでおり、日本での税制改正やステーブルコイン規制、韓国での暗号資産利用者保護法の施行などが例としてあげられます。
そんななか、僕が特に注目しているのは、AIとWeb3.0の融合領域です。「Flock.io」「Bittensor」「Delysium」など優れたプロジェクトが登場しています。プロジェクトにとってチャンスの多さがやはり魅力で、この領域からトークン上場を目指す企業も増加しています。
現在のトレンド上ではユーザーの多くが、取引での利益獲得やトークンエアドロップを目的としてWeb3.0に参入していますが、クリプトの魅力はそれだけではありません。迅速かつ低コストの送金システムは世界の金融システムを一変させる可能性を秘めており、実際に経済的に不安定な地域では資産防衛のためにステーブルコインが活用されています。
一方で、コンプライアンスの不備や匿名性の高さから、価値のないトークンやスキャムも横行しており、損失リスクも存在します今後は、Web3.0だけでなくWeb2.0の世界でもdAppsのPMF(Product Market Fit)を実現し、クリプトやブロックチェーンの魅力をより多くの人々に伝えていくことが重要な課題となるでしょう。
Web3.0領域にとらわれないプロダクト開発をす進める
──自社のプロジェクト・サービスを通してどのような魅力を届けて、どのようなことを成し遂げたいと考えていますか?
Danny:僕たちはこれからWeb3.0領域にとらわれず、多くのユーザーを対象にサービスのPMFを目指してプロダクト開発を進めたいと思っています。これまで述べた通り、特にAI技術に注目していて、僕たちの製品にも活用することでより良いユーザー体験と効率化を実現しようとしています。ブラウザアプリである「KEKKAI Mobile」にはAIを活用した新機能を実装して、たとえば自然言語を使って取引を自動化する機能を実装することでトークンの取引の効率化をさせたり、ユーザーがWeb3.0関連情報のリサーチを行う際に役立つAI検索機能を実装する予定です。
一方で、セキュリティ関連サービスも引き続き継続する予定です。今年から本格スタートしたコード監査事業では、Web3.0セキュリティの専門家が少ないという課題を、僕たちのこれまでのノウハウを活かしてハッキングの少ないWeb3.0を実現したいと思っています。
今後の展望▶︎
よりユーザー体験と効率化を実現
ハッキングの少ないWeb3.0を目指す
https://kekkai.io/alpha
Profile
◉Danny
株式会社KEKKAI CEO
高校卒業後、中国から来日し、大学在学中に起業。2023年1月には株式会社KEKKAIを設立。ブロックチェーンセキュリティーソリューションの提供等を展開する。現在はトランザクションのシミュレーション分析により、危険検知ができるWeb3.0セキュリティプロダクト「KEKKAI Plugin」や、NFT詐欺検出・取引シミュレーションができるAPI・SDKサービス、法人向けのWeb3コード監査事業をリリース。今後は現状のサービス向上と、さまざまな角度からユーザーのセキュリティ性改善のための製品をリリースし、業界全体の環境改善に貢献している。