Web3.0

あらたな形の資本主義世界を実現へ アニモカ・ブランズ共同創設者 ヤット・シウ インタビュー

2024/08/26Iolite 編集部
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あらたな形の資本主義世界を実現へ アニモカ・ブランズ共同創設者 ヤット・シウ インタビュー

アニモカ・ブランズが見据える未来とは

Profile

ヤット・シウ(Yat Siu)

Animoca Brands Co-Founder and Executive Chairman

オーストリアのウィーンで生まれ育った香港を拠点とする起業家。Animoca Brandsの共同創設者であり、Web3.0を牽引するテクノロジー業界の起業家として名をはせている。世界経済フォーラム、ヤング・グローバル・リーダーほか受賞歴多数。ウィーンの音楽芸術大学で学び、アジアユースオーケストラのディレクターでもある。


──アニモカ・ブランズはグローバルでWeb3.0領域を牽引し、業界の500社以上に投資を行っている企業として知られていますが、投資を行う上で最も重要視しているポイントは何ですか?

Yat Siu(以下、Yat):そもそも一般的な投資といえば、起業家が持つ力であったり、その才能を見定めると思います。しかし私たちはほかの投資家たちとは異なり、Web3.0領域に投資を行う際、2つの重要な点をみています。

1つは、分散型ネットワークの成長を信じていることです。ブロックチェーンは基本的にパーミッションレスなものであり、独占という概念がありません。つまり、オープンソース・ソフトウェアに近いものであるといえます。現在のWeb2.0では、GoogleやMetaなどの企業が強固なネットワークを持っています。しかし、彼らはそのネットワークを分散させているわけではありません。彼らは自身の手のなかで抱え続け、いわばネットワークを独占している状況です。たとえば、Appleを通じてユーザーが課金した場合、事業者はユーザーが支払った金額から30%のいわゆる「Apple税」を支払わないといけません。これに異議を唱えようものなら、Appleはその事業者を自らのネットワークから追放することができます。また、Instagramなどでも運営側の判断1つでユーザーの存在は抹消されてしまう。つまり、ネットワークはユーザーのものではなく、完全にプラットフォーム側の所有物になっているわけです。これがWeb2.0の現状です。

一方、Web3.0は違います。この領域の概念ではネットワークはユーザーのものであり、保有するビットコインやイーサリアムなどのトークンも、ユーザー自身の資産なのです。トークンを所有するということは、ネットワークの一部を所有することと同義です。そして、そのネットワーク上で何かを構築するよう指示をできる人間もいないのです。この状態こそ、真にオープンなネットワークであるのです。

ですので、Web3.0領域で成功できる起業家はオープンで分散されたネットワークを信じる者のみとなります。私たちはこうした起業家をみつけなければいけませんが、これは簡単なことではありません。

2つ目のポイントは、コミュニティの存在です。私たちはコミュニティとの価値共有がネットワークを成長させる最速の方法であると考えています。

Web2.0の起業家はユーザーからいかに利益を得るかを先行して考えるでしょう。「あなたのお金がほしい」「あなたにこの商品を売りたい」など、価値を得ることに集中します。しかし、Web3.0には「価値を共有する」という原則があり、これまでの構造とは異なります。Web3.0のネットワークに入るということは、そのプロジェクト、ビジネスの共同所有者になるようなものです。そのなかでも、特にコミュニティと価値を共有することはプロジェクトを成長させていく上で極めて大事な時間ですし、起業家はさまざまなユーザーとより多くの価値を共有する必要があると考えています。

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