──現状のWeb3.0領域をどのように捉えていますか?
早川裕太(以下、早川):2023年の冬の時代を経て一過性の盛り上がりだけを狙ったプロジェクトが減り、実態価値のあるプロジェクトが広がりつつあるように思います。
具体的には、2017年のICO時代から多数存在していたポンジスキームのようにプロジェクト内で新規ユーザからの資金を回して終わるのではなく、外部に価値提供して原資を獲得しエコシステムを拡大させていかないと継続的な発展は見込みづらいという認知がより高まっていると感じています。
また、「Web3.0が至高でWeb2.0はNG」という排他的な考えではマーケットが拡大しないことも理解し、従来のプラットフォーマーも巻き込む動きが増えている点は、賛否はあれど私は入口としてあるべき姿だと考えています。
両者の間の断絶はWeb3.0のなかの人が思う以上に大きいのと、ピュアなWeb3.0領域だけだとまだマーケットが限定的で、1つの狭い業界として終始してしまい、Web2.0から3.0に全体をシフトさせられず、移行期間が必要なためです。
個人的にはDAOのように自律的に永続し貢献者が募りやすいモデルをWeb3.0では構築しやすいことが魅力であり、こうした組織・プロジェクトでの成功を示すことで、Web2.0においても一般化していくと想像しています。
将来的にはWAVEEを自律的に動くように
──自社のプロジェクト・サービスを通してどのような魅力を届けて、どのようなことを成し遂げたいと考えていますか?
早川:個人や人材会社などが持つ、人材・企業のネットワークを自律的に広範につなげていく仕組みにより、"人と企業の最適なマッチング"を実現しようとしています。
具体的には、好きな友人・知人を応援しつつWAVEEに招待することで、さらなる仕事や報酬の機会を提供できます。正社員だけでなく、副業・フリーランス、さらには経営者まで全員が対象で、それぞれにあった仕事・案件を実際に獲得されています。
また、招待の際には招待した方・された方の双方にNFTを付与し、招待された方の仕事マッチングに貢献する度に、永続して、両NFT保有者に対して、通常は分配されない「マッチング報酬」までWAVEEから提供する仕組みです。こうしてWAVEEのエコシステムが順次拡大していっております。
企業にとっても、自社の従業員などからの招待が順次広がる仕組みで、「類は友を呼ぶ」的に、自社のカルチャーにフィットしやすい人材のプールを大きく拡大でき、さらにこの自律的な構成により、従来に比べて採用コストを大きく低減できています。加えて、ゆくゆくは人と企業のマッチングにおいて、WAVEEもほぼ介在しない程度に自律的に動く効果的な仕組みを構築していく計画です。
今後の展望▶︎
NFTで「類は友を呼ぶ」モデルを構築
将来的にはWAVEEのDAO化も見据える
Profile
◉早川裕太 Yuta Hayakawa
株式会社WAVEE 代表取締役社長
2010年より慶應と東大でAIを研究。楽天で複数の新サービスを立ち上げ。TECHFUNDでCTOとして数々のスタートアップや大企業の新規事業を支援。2018年にBlockchain as a Serviceもリリース。AgeTechのファミトラを創業しCTO/CSOとして計17億円を資金調達。エッグフォワードでCGOとしてWAVEEを立ち上げ、カーブアウトして㈱WAVEEを設立。