AIやWeb3.0により進化するマーケティング手法と最新トレンド

2024/10/21 14:23 (2025/11/08 13:12 更新)
Iolite 編集部
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AIやWeb3.0により進化するマーケティング手法と最新トレンド

次世代テクノロジーの登場で広告業界に訪れる変革期

従来のWeb2.0時代における広告手法では、企業は大規模なプラットフォームを通じて消費者データを収集し、ターゲティング広告を展開してきた。しかし、AIやブロックチェーン技術の普及によって、広告のあり方が根本から変わり始めている。あらたな時代に適応するために、本特集では広告戦略について深ぼるとしよう。

Web2.0からWeb3.0への移行

Web2.0時代には、広告手法は主にロングテール型、集合地型、リスティング型、CGM型の4つに分類されていた。ロングテール型は個人のサイトやブログに広告を配信し、広範囲にわたるトラフィックを集めるもので、アフィリエイトやアドセンスが代表的だ。集合地型はSNSやブログで口コミ価値の高い広告をシェアする手法、リスティング型は検索エンジンのキーワード検索に連動する広告、CGM型はユーザー生成コンテンツに基づく広告手法である。

しかし、Web3.0の時代には、個人がデータの所有権を持つことで、従来の大規模プラットフォームを介した一方向のマーケティングは機能しにくくなり、あらたな広告手法に注目が集まっている。

既存のマーケティング手法の課題

インターネット広告は変化を迫られる

インターネット広告は、ここ数年で急速に成長し続けてきた。昨今特に、動画広告やソーシャルメディア広告が高い成長を見せており、YouTubeやTikTokなどのプラットフォームが広告主にとって重要なマーケティングチャネルとなっているのはたしかだ。

しかし、GoogleやAppleが発表した「3rd Party Cookie」の利用禁止は、インターネット広告業界に大きな影響を与えた。3rd Party Cookieは、ユーザーの行動を追跡し、ターゲティング広告を配信するための主要な手段であったが、その利用が禁止されることで、広告の精度が低下し、ターゲティングが困難になっている。これにより、従来の方法に頼っていた広告主は、あらたなデータ収集と分析手法を模索する必要があるのだ。

次世代のテクノロジーが普及する時代において、消費者プライバシー保護についても、ますます重要な課題となった。従来のデータ収集手法に対する規制が強化されるなか、企業はあらたなプライバシー保護の枠組みに適応する必要があるようだ。たとえば、欧州の一般データ保護規則(GDPR)やカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)などの規制は、消費者のデータを扱う際の透明性と責任を求めており、違反した場合の罰則も厳しいものとなっている。

企業が取るべき対応策としては、まずデータの収集と利用において消費者の同意を得ることはもちろんのこと、データの匿名化や暗号化技術を活用して、消費者のプライバシーを保護する措置を講じる必要がある。

これらの環境が相まって、3rd Party Cookieに依存しにくいSNS広告は、ユーザーのアカウント情報や行動データに基づいてターゲティングを行うため重宝されているような背景があるのだ。

好調維持の動画広告とSNS広告

動画共有系SNSの広告は現在非常に好調であり、特にYouTubeやTikTokなどのプラットフォームが注目を集めている。これらのプラットフォームでは、ユーザーの滞在時間が長く、動画コンテンツへのエンゲージメントが高いため、広告主にとって非常に魅力的なマーケティングチャネルとなっている。

昨今の動向としては、ショート動画広告が堅調な動きをしていることがあげられる。YouTube Shorts、Instagram Reels、そしてTikTokがその代表例だろう。

特に若年層のユーザーに対する影響力が強い。たとえば、TikTokではユーザー生成コンテンツが多く、自然な形で広告が組み込まれることで、ユーザーにとって違和感のない広告体験を提供できる。

TikTokを活用したマーケティングの成功事例としては、新潟県の佐渡島にてキムチを製造しているキムチの家。TikTokを初めて2ヵ月で売上は従来の40倍以上となった例がある。地球の形をしたケースを噛むことで中身が出てきて、食べると舌が青くなるという、シェアを促す仕掛けが設計された地球グミは、「#地球グミ」で5億回以上再生され、合計10万袋以上が売れた。

インフルエンサーを起用したマーケティングの成功事例としては、3人組ダンスボーカルグループ「Number_i」のメンバーとして活動する平野紫耀氏が「サントリージン翠」の広告に起用されると、同商品の出荷数が2月5日から18日までの2週間で対前年比約230%に増加。イヴ・サンローラン・ボーテ(YSL)のアジアアンバサダーに就任した際にCMを担当したリップの、ECサイトの売上が正午までで前日比約540倍になった実例もある。

これらの事例からも、インフルエンサーを起用した動画広告とソーシャル広告は、ユーザーのエンゲージメントを高め、ブランドの認知度を向上させるために依然として強力な手段となっているようだ。

今後も、ショート動画広告やインフルエンサーマーケティングの手法が進化し続けるなかで、広告主は最新のトレンドを把握し、柔軟に対応することが求められるだろう。

AIを活用したマーケティング手法

すでに活用されてきたAIとあらたな活用方法

AI技術の発展により、マーケティング手法は大きく進化している。特に、パーソナライゼーションと自動化がAI活用の中心となっており、企業はより効率的で効果的なマーケティング戦略を展開している。

1つの注目すべき手法が、AIを利用したカスタマーインサイトの分析。AIアルゴリズムは、大量のデータを迅速に解析し、消費者の行動パターンや購買履歴、好みを精緻に把握することができる。これにより、企業はターゲットユーザーに対して個別に最適化された広告やオファーを提供することが可能である。たとえば、NetflixやAmazonは、AIを活用してユーザーの視聴履歴や購買履歴を分析し、パーソナライズされたおすすめコンテンツを提供しているのだ。

さらに、チャットボットの導入もAIを活用したマーケティングの一例といえるだろう。チャットボットは、24時間体制で顧客対応を行い、ユーザーの質問に即座に答えることができる。また、AIが会話データを学習することで、より自然で人間らしい応対が可能になっており、実際の人間の対応と区別ができないレベルになっている。これにより、顧客満足度が向上し、ブランドロイヤルティの強化にもつながっていくだろう。

広告運用においても、AIの自動化技術が活用されている。プログラマティック広告は、AIがリアルタイムで広告枠の入札を行い、最も効果的な場所とタイミングで広告を配信する。これにより、広告主は広告予算を最適に配分でき、高いROIを実現することができる。最近では、AIがクリエイティブの制作を自動化する動きもみられ、広告デザインの最適化も進んでいる。

生成AIの広告への活用も大きな可能性を秘めている一方で、いくつかの課題も存在する。たとえば、生成されたコンテンツの品質管理や倫理的な問題、データプライバシーの保護などだ。

AIを活用したこれらのあたらしいマーケティング手法により、企業は消費者とのエンゲージメントを深め、競争力を高めることができるのはたしかだ。今後もAI技術の進化に伴い、さらに革新的なマーケティング手法が登場することに期待したい。企業は最新技術を積極的に取り入れることで、マーケティング戦略の効果を最大化することができるだろう。

引用:株式会社インプレスAI時代到来デジタルマーケティングの将来性は?共存のための活用事例

あたらしいマーケティング手法①

次世代のマーケティング手法「トークングラフ」

テクノロジーの発展によってWeb2.0時代のマーケティング手法が通用しなくなった時、これらの課題を解決するもう1つの案として「トークングラフ」があがる。トークングラフはブロックチェーン技術を基盤としたあたらしいマーケティング概念で、ユーザーが保有するトークン(NFTや暗号資産)の情報をもとに、そのユーザーの趣味嗜好や行動パターンを解析する手法だ。

従来のインタレストグラフ(趣味嗜好グラフ)やソーシャルグラフ(ソーシャルネットワークグラフ)とは異なり、トークングラフはユーザーが所有するデジタル資産に基づくため、より正確で確実なデータを取得できる可能性がある。これにより、企業はターゲットユーザーに対してパーソナライズされた広告やオファーを提供できるだけでなく、ユーザー自身も自分のデータがどのように活用されているかを明確に把握できる利点があるとされている。

ブロックチェーン技術に特化したマーケティング企業「Sushi Top Marketing」は、トークングラフを活用したマーケティングプラットフォームを提供しており、顧客企業が所有するデジタル資産に基づくデータ解析を行い、パーソナライズされたマーケティング戦略を提案している。直近2024年7月11日には、同社がGEOMETRON合同会社からLINEを通じてユーザーにNFTを配布・販売できるプラットフォーム「NFT Pocket」及び、NFTを持つユーザー向けにLINEで顧客管理を行うSaaSシステムの「LOYLE」の2事業を承継することを発表し、自社で持つ「トークングラフマーケター」及び、「LINE Shot」に統合する予定とした。

これにより、日本人の慣れ親しんだLINEを活用したNFT配布導線が有効になり、特定のNFTホルダーだけにLINE通知やチケットを送ることも実施できるようになる。

また、トークングラフを活用する際には、個人情報ではなく、デジタル資産に基づくデータを利用することで、プライバシーリスクを低減することができ、消費者は自分のデータがどのように使用されるかをコントロールし、安心してサービスを利用できる環境が整うことだろう。

以上のように、トークングラフマーケティングは、Web3.0時代における革新的な広告手法として注目されている。企業は今後発展するであろうこれらのあたらしいマーケティング手法を活用することで、より効果的なマーケティング活動を展開するとともに、消費者のプライバシーを保護する責任も果たすことが求められる。

あたらしいマーケティング手法②

メタバースを活用したあらたなマーケティング手法

XR(Extented Reality)は徐々に我々の生活に根付き始めた。いよいよメタバース空間での広告の重要性も本格化してきそうだ。

Nikeは公式アプリ上で足のサイズを測ることのできる機能である「Nike Fit」を提供。Nike Fitは最新のAR技術を使って、両足の13カ所からデータを収集し、足のサイズや幅などの計測を行うことができる。この計測結果をもとに、ユーザーに最適なシューズがレコメンドされる仕組みだ。

化粧品大手メーカーの資生堂は、自社の総合美容サイト「ワタシプラス」内でARを活用したメイクのシミュレーション機能を導入。さまざまなブランドのアイシャドウを組み合わせて自分の顔に反映することができ、店舗を訪れずに手軽に確認することができる。

メタバース広告の費用対効果に関するデータも注目だ。従来のデジタル広告と比較して、メタバース広告は高いエンゲージメント率を誇る場合があるという。バーチャルイベントに参加したユーザーは、実際に製品を購入した割合が高く、ROIが向上する傾向にあるようだ。

総じて、メタバース広告は今後も進化を続け、企業にとってあらたなマーケティングチャネルとしての可能性を秘めている。広告主はこれらの新技術を積極的に活用し、次世代の広告戦略を構築することが求められるだろう。

広告戦略は移行期にある

現状、広告戦略はWeb3.0時代への移行期にあり、AIの活用やトークングラフ、メタバース広告など新技術が注目されている。

今後、これらの技術が主流となり、消費者データの所有権が個人に移行することで、よりパーソナライズされた広告が可能になるだろう。

Web3.0時代の広告は、より透明で効率的なマーケティングを実現し、消費者と企業双方にとって大きな可能性を秘めているようだ。


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