XRPで国際送金を劇的に効率化
普及のためのインフラ革新に挑む
Web3.0の台頭によって多くの課題が解決される可能性がある。なかでも『送金』に焦点を当てると、これまで事業者の頭を悩ませていた高額な手数料や着金までの時間等を大幅に改善することに期待が集まる。
Web3.0における送金領域では、黎明期より米リップル社が先駆者として取り組みを進めている。
そのリップルにおいて、長年活躍している日本人プレイヤーが吉川絵美氏だ。吉川氏はリップル社のバイスプレジデントとして、戦略、ビジネスオペレーション等を統括する。
吉川:2022年は『Web3.0』をキーワードに、暗号資産の枠を超えたさまざまな業界のプレイヤーが続々と参入し、大いに盛り上がりました。2022年は『Web3.0とは何か?』、つまり“What”が中心の議論でしたが、2023年は『Web3.0をどう活用するか?』、つまり“How”が中心の議論に成熟していくと思います。
具体的には、『いかに実世界にインパクトをもたらすユースケースか』、そして『いかに安全かつ簡易的に実装できるか』が吟味されていくでしょう。
リップルでは2012年の創業以来、ブロックチェーンとクリプト技術で実世界の課題を解決することに専念してきました。たとえば、従来摩擦が大きかった法定通貨間の国際送金において、暗号資産XRPをブリッジ資産として活用することで、国際送金の劇的な効率化を実現しています。
Web3.0という文脈においても、リップルでは引き続き実世界におけるクリプト技術の活用に注力しています。
特に注力しているのが、カーボンクレジットのNFT化です。特定のCO2削減プロジェクトと紐付けられた固有のクレジットがトークンとして発行されることで、クレジットの『品質』を見分けることが可能になり、より効率的で透明な市場を実現することができます。
リップルが活用するXRPレジャーでは、次世代型のNFT新規格が昨年ローンチし、スマートコントラクトをデプロイせずにプロトコルネイティブなトークン発行機能を活用することで、簡単かつ安全にNFTを発行できるようになりました。
このような利便性・安全性の面でのインフラ革新は、マスアダプション期にたどり着くためにも非常に重要な土台になると考えています。このように、リップルでは『実世界でのインパクト』と『普及のためのインフラ革新』に引き続き専念していきます。
◉吉川 絵美
Profile│米国リップル社のサンフランシスコ本社にて、バイスプレジデントとして戦略、ビジネスオペレーション、合弁事業パートナーシップなどを統括。日本最大の海外送金企業であるSBI Remitの社外取締役も兼任。2021年にはSan Francisco Business Timesによりサンフランシスコ・ベイエリアのビジネス界で最も影響力のある女性100人にも選出。ハーバード・ビジネススクールのMBA、CFA協会認定証券アナリスト資格(CFA)を保有。