世界的ITの企業にいったい何が起きているのか。
FacebookやInstagramなどを運営するSNS大手企業のMeta社が向かい風にさらされている。社名を変更してまで注力したメタバース事業は、2022年に1兆円を超える損失を出しており、現時点でも成果が出そうな気配はない。
今年3月には近年力を注いでいたNFT事業からの撤退も発表している。また、昨年11月に実施した1.1万人の人員削減に続いて、さらに今後数ヵ月で1万人を追加で削減すると発表している。同社の社員数は2022年9月時点で約8.7万人。わずか半年ほどで従業員の25%を解雇することになる。
コロナ禍によってオンライン広告などの需要が伸びたことで、2021年のMeta社の業績は絶好調といって良いものになっていた。これを受け、同社は設備投資と人材確保を積極的に推し進めてきた。
しかし2022年以降、「金利の上昇、地政学的な不安、規制の強化」といった要素によってMeta社の業績は低迷することとなってしまったのだ。
そんななかで、Meta社があらたに注力する分野としてあげているのがAIである。
ここ数ヵ月で、AI技術競争は一気に激化しており、GoogleやMicrosoftなどもAI関連技術への注力を明らかにしているが、そこにMeta社も参入するという。
同社CEOのザッカーバーグ氏は2月に「この分野での仕事を加速させるため、生成AIに特化したあたらしいトップレベルの製品グループを創設する」と述べた。
そして、2月24日にはあらたな大規模言語モデルとなる「LLaMA」をリリースしている。ただし、LLaMAは研究者向けに限定でリリースされたものであり、現時点では一般ユーザーに利用されてはいない。
ChatGPTに代表される大規模AIチャットボットが次々とリリースされるなかで、やや出遅れているという印象は否めないだろう。
他社との違いとしては、Meta社が引き続きメタバース事業にも注力しており、メタバースとAIの相乗効果に期待できるところだろうか。
たとえば人間と変わらない精度のやり取りをするAIを使えば、メタバース内に人間のようなAIキャラクターを出現させられる。AIの活用方法として、Meta社だからこそできるものをみつけられるかが今後のカギとなりそうだ。
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