政府は2023年から、マイナポータルを活用したオンラインでの転出届の提出・転入届の予約を可能にする「引っ越しワンストップサービス」を開始。これにより引っ越しの手続きが簡素化される。
このように不動産や住居に関するサービスのデジタル化が進んでいるなかで、ブロックチェーンを活用した不動産サービスも始まっている。それが不動産業界によるセキュリティトークンの活用である。
小口投資可能な「不動産クラウドファンディング」との違いを明確化する必要あり
セキュリティトークンとは社債や不動産などの有価証券をトークン化すること。このセキュリティトークンを販売する初期セールのことをSTOと呼ぶ。
国内でも野村ホールディングス、野村総合研究所、SBIホールディングスによるジョイントベンチャーであるBOOSTRY社が中心となって運営する「ibet」や三菱UFJ銀行が提供する「Progmat」といったSTOプラットフォームがすでに稼働中。
たとえばProgmatでは、兵庫県の六甲アイランド上にある物流施設の信託受益権(賃料などを受け取る権利)をトークン化して販売したSTOを実施し、総額7.6億円分が即日完売した実績がある。
STOを活用することで、不動産業界と投資家が得られるメリットは多い。特に実際の不動産とは異なり、トークン化することによって単位1以下の小口販売が可能な点は大きなメリット。
たとえばリゾート施設を「0.1個分保有する」といったことが可能になるため、小口投資家が参入しやすくなるのだ。
有力な不動産企業が次々とSTO市場に参入していることから、2023年にはSTOがあらたな投資手法のひとつとして人気になる可能性は大いにありそうだ。
セキュリティトークン化するメリット
不動産をセキュリティトークン化するメリットは、小口投資が可能になるという点だけではない。
暗号資産と同じように、原則24時間取引可能になるのも大きなメリットである。また、投資家にとっては「裏付けがある資産」への投資が可能である点もメリット。さらにトークン保有者に金銭的報酬以外の特典(宿泊券など)を付与するといった活用方法も期待されている。
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