ブロックチェーンゲームの大衆化が
一気に進む「予感」と「準備」
ユーザーが暗号資産・ウォレットに関する知識を必要とすることなく純粋にゲームを楽しめるコンテンツへ進化。
2022年、Move to EarnというWeb3.0ゲームのイノベーションを起こした『STEPN』は、何かしらの行動をすることでトークンという対価を得られる『X to Earn』を確立させ経済圏を作った。
以降、『遊んで稼ぐ』というPlay to Earnの思想は世界各国に広がり、日本においても大手企業が参入する大きなきっかけになったといえる。
しかし、日本では『STEPN』の流行以前から数多くのブロックチェーンゲームがプレイされており、世界でも高く評価されている。2019年に正式リリースされた『クリプトスペルズ』もその1つだ。
クリプトスペルズではユーザーにとって非常に大きな参入障壁となっているウォレットや暗号資産の準備を必要としないこともあり、瞬く間に日本最大級のブロックチェーンゲームへと成長した。
このクリプトスペルズを手がけたのは、小澤孝太氏が率いるCryptoGamesだ。同社は日本発のパブリックブロックチェーン・Astar Networkを活用した農業体験ゲーム『Astar Farm』の提供も行なっており、昨年実施したカルビーとのキャンペーンは話題となった。
2023年は既存の大手ゲーム企業の参入も予想されるなかで、小澤氏はCryptoGames、そして日本のブロックチェーンゲーム業界をどのようにリードしていくのだろうか。
小澤:2022年は『STEPN』がヒットし、X to Earnのモデルで世界中の事業者がブロックチェーンゲームに参入を開始しました。個人的にも、みんながAxie Infinityの次のヒットを模索しているなかで、まさかMoveto Earnが来るとは思いませんでした。また、既存のクリプトユーザーだけではなく、スマホアプリにUXを特化することで、これまでウォレットを持っていなかった一般のユーザーまで街中でみかけるなど、ブロックチェーンゲームのマスアダプションの可能性を示したことには衝撃を受けました。2023年は国内の大手デベロッパーを始め、IPやグラフィックが既存ゲームに劣らない、大型のブロックチェーンゲームがリリースされ始める年になり、そのなかから国内でも1本ヒットタイトルが出てくるのではと予想しています。
同時に、一般のユーザー向けのインフラサービスの普及も始まると考えています。
たとえば、先日発表されたMetaMaskのUnityプラグインでソーシャルゲームでもウォレット接続が容易になったり、TorusのようにSNSログインでNFTを保有できるウォレット、秘密鍵をなくしても復元できるウォレット、事業者向けのカストディサービスなど、暗号資産・ウォレットに関する知識を必要とすることなく自然にマスへと普及していくと思います。
CryptoGamesでも、ブロックチェーンゲームのマスアダプションに備え、ガス代無料のチェーン『Oasys』を活用し、レイヤー2チェーンの『TCG Verse』上でのコンテンツ開発に注力しています。
ブロックチェーンは100年に1度の技術変革だと思っていますので、ぜひ今年もWeb3.0業界にご注目ください!
NFTゲーム業界の2023年
大型ブロックチェーンゲームの登場・インフラ整備、ユーザーが参入しやすい環境が一気に整う。
◉小澤 孝太
Profile│2014年 慶應義塾大学経済学部卒業。株式会社サイバーエージェント新卒入社。複数のゲーム関連事業を立ち上げ2016年にCA36に抜擢。2018年にCryptoGames株式会社を設立。2020年double jump.tokyoの社外取締役を兼任。ブロックチェーンコンテンツ協会理事。ビジネスモデル特許を2件取得。