瞬く間に流行語となり広まった「メタバース」。だが実際のところ、「メタバースとはなんなのか?」という問いへの回答は未だみえてこない。結局のところ、中身はからっぽのバズワードであるとの声も聞こえてくる。
そこで、ゲーム・Web3.0に詳しいライターA氏と、メタバースプロジェクトへの投資で大失敗した個人投資家B氏に、「メタバース」の現実を本音で語り合ってもらった。
A氏:今日はメタバースについて自由に話し合って良いということで。さっそくですが、そもそもメタバースってなんなのか?という問題がありますよね。この言葉は使い人によって意味が全然違うことも珍しくないので、まずそこから擦り合わせていきたいです。
B氏:おっしゃる通りで、意味が曖昧なまま使われていることが多いですよね。個人的には、メタバースという言葉は3つの文脈で使われていると考えています。
最もわかりやすいのは、『ハイクオリティなゲームとソーシャルネットワーク的な人間関係がある3Dデジタルゲーム』です。この場合は、MMORPGなどのオンラインゲームの延長線上にあるものがメタバースである、という考え方になります。
A氏:『ファイナルファンタジー14』とか『フォートナイト』、『どうぶつの森』らへんをメタバースであると考えるパターンですね。
この使い方なら、要するに複数の人間がプレイして交流できる3Dゲームはすべてメタバースだ、ということになります。ただし、今どきのオンラインゲームでは他人との関わりがないものの方が珍しいくらいですから、最新のオンラインゲームをかっこよく言い換えただけとも考えられます。
B氏:もう1つの使われ方は、Facebookから改名したMeta社に代表されるパターンですね。さっきの『メタバース』からゲーム要素をなくして、人々が交流、学習、仕事とかもできるような3D空間という意味合いで使ってるパターンです。
今のインターネットはテキストによる交流から一歩進んで、オンラインミーティングのような動画を使った交流が広まった段階ですが、それをさらに進化させようと。
無機質な背景と生身の姿ではなく、3Dデジタル空間とアバターを使って今よりもリアルに近いコミュニケーションを取れるようにしよう、という発想ですね。『バーチャル渋谷』とかもこれに近いタイプのメタバースです。