30年近く前から予見されていたインターネット社会とは何か
『評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている』は、アニメ・ゲーム制作会社ガイナックスの初代代表取締役岡田斗司氏が2011年にダイヤモンド社より出版した本。氏は『王立宇宙軍-オネアミスの翼』『ふしぎの海のナディア』など名作アニメを世に出したのち、講演活動や、著述・言論活動を行っている。
もはや10年以上前に記されたこの本は、ネット上で“預言書”としてたびたび語られている。本書は、1995年に朝日新聞出版社より出版された氏の処女作、『ぼくたちの洗脳社会』が底本となっている。つまり、人々が驚いている内容は、今から30年近く前に考えられていたということだ。30年前に語られた、未来予想とはどのようなものだったのだろう。
そもそも“評価経済社会”とはどのようなものなのか
『評価経済社会』という聞きなれない単語は、岡田氏の造語だ。意味は、“「評価」と「影響」を交換しあう社会”だそうだ。よい情報の提供で価値観や行動に影響を与えてくれた人に対して、「評価」を与える。この交換が、金銭的価値を上回る社会が訪れることを、本書は語っている。

▶『評価経済社会・電子版プラス』岡田斗司/FREEex.著株式会社ロケット発行
『評価経済社会』とは?
一、他人を、その価値観で判断するということ。
一、価値観を共有するもの同士がグループを形成するということ。
一、個人のなかで複数の価値観をコーディネートするということ。
▶岡田斗司夫 FREEex.評価経済社会・電子版プラス.Rocket Inc.Kindle版.
SNSの「いいね」を獲得するために躍起になる若者や、インフルエンサーへ企業がお金を払うことは、今ではあたり前であり、2024年現在、すでに“評価高貨幣安”とでもいうべき時代は訪れている。だが、SNSの黎明期である2011年にこの状況を想定できていた人間は、ほとんどいなかっただろう。
岡田氏は、やがて若い世代は貨幣というものの価値を重視せず、『自分の感覚・趣味性を最大の価値とする』時代が来ると本書で一貫して述べている。出世や贅沢に興味がなく、仕事に対する姿勢もドライ。だが、趣味に対する熱意だけはものすごい若手社員をどう働かせるか。今現在、頭を抱えている中間管理職は、一定数いるのでは?いったいどこから、このような予測は生まれたのだろうか。