—— 改めて現在の活動についてお聞かせください。
ゆうこす:基本的には2軸ありまして、主にSNSのなかで活動するタレント・インフルエンサーとしての活動と、会社の経営をしています。いくつか会社はあるのですが、ライバーのマネジメント事務所321であったり、自身のインフルエンス力を活かしたブランドプロデュース等を行っています。
——アイドルグループ出身のゆうこすさんですが、グループ卒業後SNSで「モテクリエイター」として多くの支持を集めました。その後は自身のブランドを立ち上げるなど、さらに活躍の幅を広げていますが、アイドルから起業家への転身を決意したきっかけを教えてください。
ゆうこす:もともとは起業家になりたいとか、やりたい事業があるというわけではなかったのですが、グループを卒業した時期は、個人にも焦点があたるYouTube やInstagramの人気が高まり始めた時期ということもあり、「個人で届けたい人にやり方しだいで届けることができるんだ」という体験に楽しさを覚えて、やっているうちにありがたいことに影響力がついてきました。
その後もより多くの方々の要望や課題解決にこたえていきたい、という思いからプロデュース業やライバー事業を展開していったという経緯があります。
——HKT48の卒業からビジネスを展開していく過程で、ご著書も出されていたかと思うのですが、出版がきっかけとなって大きく変わったことは?
ゆうこす:たしかに出版を通して大きく変わりました。 ビジネス書やスタイルブック、写真集をふくめると全部で6冊あります。私はタレントも事業も、ワンフレーズでわかるようなキャッチーでポップな存在であるということが重要であると思っています。
自分の紹介を時間をかけて説明させてもらえる機会がSNSの発展に伴い減りつつあるなか、何となくゆうこすに勢いがあったり、オフィシャル感があるように認識してもらうために書籍は強力なツールだと考えていました。
当時は出版社さんに「本を出させてほしいです。お願いします!」と直談判していましたね(笑)。断られ続け、諦めかけていた時にお願いをした出版社さんに企画を通していただいて現在に至ります。
——『共感SNS』という著書のなかの副題に、「丸く尖る発信で仕事を創る」とあったのですが、当時のゆうこすさんはこの副題をどのような意図で付けられたのでしょうか。
ゆうこす:「丸く」、「尖る」という言葉は相反する言葉ではありますが、インフルエンサーや経営者として事業をやっていく上で大事にしているのが、「ニッチでポップでキャッチー」であること。ポップやキャッチーな部分を「丸く」、ニッチは「尖る」と表現しました。
SNS の世界には一部、攻撃的に誰かを誹謗中傷する方もいますが、より多くの人々に支持されるためには、「ニッチな共感」がすごく大切だと思っているので、丸く尖って共感力をあげましょう、という意味を込めてあの書籍の副題を付けました。
——ゆうこすさんがファウンダーを務めるライバー事務所321は現在の所属人数が数千名いらっしゃるとうかがったのですが。ここまで多くの仲間に恵まれた秘訣は?
ゆうこす:現在登録していただいているライバーさんは約8,500名です。ライブ配信事業においては、まだまだ少し怪しいイメージを持たれている方も一定数いらっしゃると思っています。 その1つの要因として感じているのは、個人で配信できる環境があるのに事務所と受け取るギャランティにおいてのトラブルがあること。
この課題を解決するために、ライバー事務所321を立ち上げた時に、ライブ配信アプリ側に交渉をしにいきました。あわせて、321はライバーさんからマージンをいただかないような設計にしています。
そのほかにも、年間で2億円ほどの予算をかけてイベントを開催しています。1人で配信しているよりも321に入った方がマネージャーも付くし、配信での収益に関してはお金も取られないし 、イベントにも参加できるのでライバーとしての活動の幅を広げるという意味で活性化にも期待できる。そんなところに魅力を感じてもらっているのかなと思っています。
イベントの時、ファウンダーの挨拶で私が出ていっても私のことを知らない方のほうが多いので、ちょっと気まずかったりもするんですけどね(笑)。でも、私のことを知らないライバーが多いのは、事務所の方針と設計を魅力的に感じていただいているからではないかなと感じます。