日本のWeb3.0業界のトレンドとは
日本のWeb3.0市場は、世界でみても最も成熟しているといって過言ではないと、国際的にみられていることをご存じだろうか。日本は2017年時点で、世界のビットコイン取引量の約43.6%を占めていた。だが、大規模な取引所でのハッキング事件などが相次いだことで、「暗号資産は怪しいもの」というマインドが、国民のなかに築かれてしまったのは記憶にあたらしい。
事件を契機に日本政府も、暗号資産取引の規制を進めていったことで、「ルールに縛られる市場に魅力はない」と、世界の投資家も日本市場を離れていくこととなった。
だが、そもそもWeb3.0の本質は、すべての人にとって、より公平で分散された情報インフラを目指し、個人の資産や権利を一部の大企業の手から取り戻すという理念であったはずだ。
一企業が独占的に提供しているインターネット空間では、企業の気分次第で、突然利用規範が変更されることもあるだろう。だが、ブロックチェーンを利用したWeb3.0の領域であれば、インターネットの世界を、本来の公共インフラの形に戻せる可能性がある。
投機的な熱が落ち着き、ブロックチェーン技術がますます発達していった現在において、Web3.0業界は、再び当初の理念の実現へ舵を切り始めている。その結果、再び注目を集めたのが、日本市場であった。
考えてもみてほしい。電気やガス、水道網に等しい公共インフラを預ける企業が、ルールもなく好き勝手にやっていると不安にならないだろうか。だから、本邦は、「日本が整備した法規制こそが、Web3.0の指針となる」と脚光を浴びることとなっている。
2023年11月、暗号資産取引所の「FTX」が破綻した際に、世界で約100万人以上の投資家が資金の引き出しを行えなくなった。だが、日本では同事件で被害を受けた投資家に対し、243億円相当の暗号資産と現金引き出しが行われている。これは、世界に先んじて日本のWeb3.0領域における法規制、法整備が実行されていたことによる賜物だ。怪我の功名といえばそれまでだが、緊急時でも投資家の保護をしてもらえるという信頼が日本にはある。
岸田政権は、日本ならWeb3.0領域のグローバルスタンダードになれると判断し、国家戦略として規制改革を続けさせている。これほどまでにWeb3.0事業環境の整備に前向きな国は存在しないだろう。だからこそ、業界がどのような未来へ向かうのか予測するにあたっては、日本の業界動向を観察することが、最も肝要なのである。
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