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2024年日本のWeb3.0業界 注目トピック6選

2024/09/29Iolite 編集部
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2024年日本のWeb3.0業界 注目トピック6選

2024年に起きた日本のWeb3.0を象徴するトピック

日本のWeb3.0業界のトレンドとは

日本のWeb3.0市場は、世界でみても最も成熟しているといって過言ではないと、国際的にみられていることをご存じだろうか。日本は2017年時点で、世界のビットコイン取引量の約43.6%を占めていた。だが、大規模な取引所でのハッキング事件などが相次いだことで、「暗号資産は怪しいもの」というマインドが、国民のなかに築かれてしまったのは記憶にあたらしい。

事件を契機に日本政府も、暗号資産取引の規制を進めていったことで、「ルールに縛られる市場に魅力はない」と、世界の投資家も日本市場を離れていくこととなった。

だが、そもそもWeb3.0の本質は、すべての人にとって、より公平で分散された情報インフラを目指し、個人の資産や権利を一部の大企業の手から取り戻すという理念であったはずだ。

一企業が独占的に提供しているインターネット空間では、企業の気分次第で、突然利用規範が変更されることもあるだろう。だが、ブロックチェーンを利用したWeb3.0の領域であれば、インターネットの世界を、本来の公共インフラの形に戻せる可能性がある。

投機的な熱が落ち着き、ブロックチェーン技術がますます発達していった現在において、Web3.0業界は、再び当初の理念の実現へ舵を切り始めている。その結果、再び注目を集めたのが、日本市場であった。

考えてもみてほしい。電気やガス、水道網に等しい公共インフラを預ける企業が、ルールもなく好き勝手にやっていると不安にならないだろうか。だから、本邦は、「日本が整備した法規制こそが、Web3.0の指針となる」と脚光を浴びることとなっている。

2023年11月、暗号資産取引所の「FTX」が破綻した際に、世界で約100万人以上の投資家が資金の引き出しを行えなくなった。だが、日本では同事件で被害を受けた投資家に対し、243億円相当の暗号資産と現金引き出しが行われている。これは、世界に先んじて日本のWeb3.0領域における法規制、法整備が実行されていたことによる賜物だ。怪我の功名といえばそれまでだが、緊急時でも投資家の保護をしてもらえるという信頼が日本にはある。

岸田政権は、日本ならWeb3.0領域のグローバルスタンダードになれると判断し、国家戦略として規制改革を続けさせている。これほどまでにWeb3.0事業環境の整備に前向きな国は存在しないだろう。だからこそ、業界がどのような未来へ向かうのか予測するにあたっては、日本の業界動向を観察することが、最も肝要なのである。

日本のWeb3.0を象徴する6つのKeyword

日本のWeb3.0業界の今をみていく前に、日本のWeb3.0業界がどうして世界から注目されるようになったのかを6つのKeywordから紐解いてみようと思う。前提の知識を知った上でニュースをみると、また違った視点から物事を測れるようになるはずだ。

1.マウントゴックス事件

▶2024年7月より、マウントゴックスは、本事件の債権者に対して弁済措置を開始している。

暗号資産業界を震撼させた巨額流出事件

2014年2月、日本の暗号資産取引所「マウントゴックス」のサーバーがハッキングされ、秘密鍵が流出。総額約470億円のビットコインと預かり金が流出した。当時日本は、世界の4割強のビットコイン取引が行われていたため、この事件は世界に衝撃を与え、暗号資産市場は一気に冷え込んだ。

日本政府は利用者保護の観点から、暗号資産に関する法整備を急ピッチで進めた。暗号資産取引業者に対し、金融庁の登録が必要になったのもこの事件からだ。この法規制が、日本で暗号資産の安全性が担保されていくきっかけとなった。

2.金融庁事務ガイドライン

Web3.0技術に対する人々の疑問を解消!

2017年4月、資金決済法と犯罪収益移転防止法等の改正に伴い、金融庁は行政部内職員向けにガイドラインを策定している。このガイドラインでは、暗号資産の範囲や規制の対象を明文化した。日本国内においては暗号資産の範囲が具体的になり、Web3.0関連技術を用いた新興ビジネスが行いやすくなった。

3.令和5年度与党税制改正大綱

暗号資産への課税方法の検討

2022年12月16日に公開された「令和5年度与党税制改正大綱」。NISAなどの枠組み見直しに注目されがちだが、「暗号資産の期末時価評価課税をどうするか」についての提言もされていた。これを受け日本では、短期売買目的以外の公共財となりうる暗号資産の扱いについて、法令上・会計上の在り方の検討が始まった。

4.NFT×知的財産(IP)

日本だからできるコンテンツビジネス

NFTという言葉が注目されるようになったのは2021年、ジャックー・ドーシーの初Tweetに、約3億円もの値が付いた出来事からだ。ブロックチェーンを応用し、偽造不可能なデジタルデータを売買する市場は、特にアート界隈で注目された。

日本には、世界的なマンガ・アニメコンテンツが大量にある。これらをNFT化することが注目されている。加えるなら、かつて日本のマンガ・アニメ市場は、海賊版により被害を被った経験がある。NFTと各IPを組み合わせ、国際的な権利保護ができるのではという期待もある。

5.web3プロジェクトチーム

政府与党がWeb3.0に前向き

自民党には「自民党デジタル社会推進本部」という組織がある。このなかには「web3プロジェクトチーム」もあり、2023年5月には、暗号資産についてまとめたホワイトペーパーを内閣へ提言した。政府与党が積極的にWeb3.0への政策提言を行うことも、日本のクリプト業界の一助となっている。

6.改正資金決済法

暗号資産決済の普及が加速する⁉

2023年6月よりステーブルコインが、電子決済手段として法律で定義され暗号資産の普及が前進した。ステーブルコインは基本的に法定通貨を担保にしているが価格が暴落した事例もある。そこで利用者保護のため世界に先駆け日本が法制化を行った。マネーロンダリングリスクの解消という側面も指摘されている。


用語集

秘密鍵:ブロックチェーンで情報を送信・複合する時に用いる、個人を証明するパスワード。

期末時価評価課税:暗号資産は、法人税法上、期末に時価評価して算出された評価損益は課税の対象となっている。技術発展や事業開発を阻害していると指摘されていた。

NFT:Non-Fungible Token(非代替性トークン)のこと。偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ。唯一性、希少性が証明されることで価値を持つ。

クリプト:Crypto。暗号技術を基盤とした資産全般のこと。暗号資産全般を総括する単語。

ステーブルコイン:価値を安定させるため、法定通貨と連動して価値を調整する設計の暗号資産のこと。


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